『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』再演! 帝国劇場ラストイヤーを興奮で赤く染める
赤、赤、赤の世界――ド派手で煌びやかなステージセットのイメージとぴったりな、ライトアップされた夜の東京タワーのふもとで、今年6月20日から9月にかけて再演される『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』に出演する望海風斗と平原綾香(サティーン役Wキャスト)、井上芳雄と甲斐翔真(クリスチャン役Wキャスト)の4人が、トークセッションを行った。 2023年、2カ月間にわたり帝国劇場で日本初上演された『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』は、映画の世界、はたまたホンモノのパリ・ムーラン・ルージュに足を踏み入れたかのような、ゴージャスでコケティッシュなステージ美術で、開演前から観客を興奮させた。そしていざ始まるや、華麗な歌とパフォーマンスで度肝を抜き、話題にもなった高額チケットが開幕早々に完売、大好評を博した。
今年の再演も4人のメインキャストが続投。18歳下の甲斐翔真と同じ役をWキャストで演じる井上芳雄は昨年を振り返り、「あんなに若い役をよくやっていたと思う。甲斐君は自前の若さがあるけど、僕はなけなしの若さを絞り出したから(笑)、今年は若さが残っているかと一抹の不安が……」とユーモアを交えて本音を吐露しつつ「再演は定着するかが重要なので、今年が要。特別な作品にすべく演じるのが目標」と、ミュージカル界を牽引するトップスターの矜持と覚悟を語った。一方の甲斐翔真は、元々「ムーラン・ルージュの大ファン」という。昨年の公演後は、実際にパリのムーラン・ルージュを訪れたそうで「クリスチャンの気持ちがすごく分かった」と、すでに興奮気味だ。 サティーン役の望海風斗は怒涛の公演期間を「夢だったんじゃないかと思うぐらい、非現実的な毎日であまり記憶がない」とのこと。歌手デビュー20周年のメモリアルイヤーと重なったという平原綾香も、「記憶はあるけど、本当にドタバタしていて……」という。そして奇しくも今年はミュージカルデビュー10周年で再び記念の年に。「(昨年も)全力でやってないわけじゃないですけど、今年は『ムーラン・ルージュ!』一本! これに懸けて……お漬物で言うとサティーン漬け、古漬けくらい、しみ込ませて……」と、天然爆発で意気込み語り爆笑を誘った。「なぜ漬物に喩えるんだろう。でも気持ちは伝わりました(笑)」と井上がジェントルマンなツッコミで溜飲を下げてくれ、絶妙なコンビネーション垣間見せた。 さらに、平原曰く「とにかく赤いでしょ? だから(闘)牛の気持ちがよくわかる、高揚感がすごくて!」。ステージで魅せるスーパー・プロフェッショナルな姿とこのギャップがまたたまらないわけだが、抑えきれずに猛突進してしまうような激しい衝動と感覚……も観れば納得。今年は東京・帝国劇場に続き、大阪・梅田芸術劇場でも上演される。 2001年に公開した映画「ムーラン・ルージュ!」の監督で原作者のバズ・ラーマンが、昨年の公演初日に「日本版が一番泣ける!」と喝采した『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』は、映画の世界観とライブの臨場感を全身で体感できる究極のエンタテインメント!と改めて、強く推しておこう。 文=川村夕祈子 制作=キネマ旬報社