中国、アルツハイマー病治療の新薬を承認
【東方新報】中国の医療管理当局はこのほど、アルツハイマー病患者やエイズ(HIV)のハイリスクグループに新たな希望をもたらす海外の二つの医薬品に承認を与えた。 国家薬品監督管理局は9日、東京に本社を置く製薬会社「エーザイ(Eizai)」が開発した、アルツハイマー病に起因する軽度の認知症や認知機能障害の治療薬「レケンビ(Leqembi、別名:レカネマブ)」点滴静脈注射薬の市場販売を承認したと発表した。 北京市を拠点とする中国の週刊ニュースメディア「経済観察報(Economic Observer)」は、7月の米国、9月の日本に続き、中国が3か国目の承認国だと報じている。 レケンビは、神経毒性とアルツハイマーに関係すると広く信じられている「アミロイドベータタンパク質」を直接ターゲットとする薬剤だという。 エーザイの説明によると、現在市販されている薬は症状の改善を対象としており、根本的な原因に対処することは難しいとしている。しかし世界的な臨床試験において、この薬剤を服用することで早期段階の患者の約60パーセントの病状進行を逆転させ、認知機能障害が改善されることが実証された。 同社は、2ミリリットル入り容器1本あたり350米ドル(約5万732円)に設定した。体重60キロの患者の場合、年間約18万元(約364万円)に相当するという。 経済観察報によれば、海外で承認された製薬を中国で現実臨床試験することを認めている海南省(Hainan)のパイロット医療特区である「博鰲楽城国際医療先行区」での臨床試験薬として、最初の試験ロット200本が完売となった。 中国で昨年発表された「アルツハイマーに関する年度報告書」によると、中国には現在983万人のアルツハイマー患者がいて、国内の患者死亡原因の第5位になっているという。 しかし、中国でのこの病気の診断率や治療率は低いという。一般大衆のアルツハイマー病に対する認識の不足が、現在の中国が抱える問題だ。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。