【ラノベ週間ランキング】『わたしの幸せな結婚』最新刊が1位、2位以下には『薬屋のひとりごと』がズラリ
小説では幾多の危機を乗り越えて幸せな結婚を成し遂げ、TVアニメも第1期の放送が終わって第2期を待つ状態に入っても、顎木あくみ『わたしの幸せな結婚』の人気は収まらない。Rakutenブックスのライトノベル週間ランキング(12月11日~17日)で1位は2024年3月25日に発売の『わたしの幸せな結婚 八』(富士見L文庫)が獲得。発売までの3ヶ月間をどこまでトップで居続けられるかに関心が向かう。 内容の方は、まだ学生だった久堂清霞が、今は部下として頑張っている五道佳斗の父に対異特務小隊に誘われていた頃の話で、軍人として生きる清霞の信念に迫れるストーリーとなっていそう。結婚後の清霞と美世がどのような生活を送っているかを描いた短編も収録。初登場字は傍若無人で冷酷非道にしか見えなかった清霞の本当の姿に、過去のエピソードと現在の様子から迫れる1冊になっていそうだ。 『わたしの幸せな結婚 八』は、TVアニメでは放送されていないオリジナルエピソード「わたしの幸せのかたち」をアニメ化して収録したBlu-rayが同梱されるバージョンも3月25日に発売。アニメから「わた婚」に入った人なら欲しい1冊で、まだアニメを見ていない人も、同梱版を見れば上田麗奈が儚げに演じる美世と、石川界人が演じる清霞の姿に心を惹かれ、シリーズを見たくなるだろう。 第2位からズラリと並ぶのは、TVアニメが絶賛放送中の日向夏によるシリーズ『薬屋のひとりごと』(ヒーロー文庫)。10月から始まったアニメでエピソードが拾われている1巻は6位で、2位は4巻、3位は最新刊の14巻といった具合で、特にどの巻がということもなく読まれている様子。以下、13巻が4位、8巻が7位、5巻が8位、9巻が12位といった並びでベストテンに入り、30位以内に既刊の14冊中、13冊が入っている。 既刊分がランキングに並ぶ現象は、『わたしの幸せな結婚』や佐伯さん『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』がTVアニメ化された時も起こっていたが、巻数の多い作品で起こることは珍しい。1巻に収録されているエピソードを余さず拾って美麗な映像で描くアニメの丁寧さにファンとなり、これは面白いと読み始めた人が多くいるからだろう。 こうした"強敵たち”に食い込んで5位となったのは、佐島勤『続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー7』(電撃文庫)。USNAに眠る大規模破壊魔法を封印しに、すぐにでも出国したかった司馬達也だったが、戦略級魔法師の度重なる出国に難色を示す国家中枢の勢力によって国内にとどめ置かれ、どうにかして道を開こうと交渉を続ける。そうした政治的な活動の描写があり、達也とはライバル関係にあった一条将輝に甘い罠が迫る展開もあって、派手なバトルはなくてもいろいろと楽しめる。 10位はトール『継母の心得3』(レジーナブックス)。病気で死んだ山崎美咲が目覚めると、漫画『氷雪の英雄と聖光の宝玉』の世界に悪辣な継母キャラのイザベルとして転生しまっていた、という展開から始まるシリーズの最新刊。義理の息子となるノアの可愛らしさ打たれて世話をしまくっていたら、女嫌いだった旦那様の態度も変わってきたが、漫画にも出て来た悪魔が世界に不穏な影を落とし始めていた。イザベルは愛息のためにどう戦う? 異世界転生×悪役令嬢に継母設定を乗せて目新しさを感じさせるシリーズだ。 11位以下も人気シリーズの最新刊や関連書式が並ぶ。11位『転生したらスライムだった件 10th ANNIVERSARY BOOK 転スラ10』(GCノベルズ)は、14位に最新刊『転生したらスライムだった件14』(CGノベルズ)が入った伏瀬の小説が10周年を迎えたことを記念した1冊。伏瀬と担当編集者が8時間にわたって語り尽くした作品誕生からこれまでの展開に至る裏話があり、イラストのみつばーによる全巻カバーイラストの解説があり、コミカライズやアニメ、舞台など多方面へと広がっていく「転スラ」ワールドの紹介もあって、かつてない深さでシリーズの世界へと踏み込める。 雪村花菜『紅霞後宮物語』や『わたしの幸せな結婚』といった人気シリーズを生み出してきた富士見L文庫で売れ行き好評の、道草家守によるシリーズ最新刊『龍に恋う 六 贄の乙女の幸福な身の上』も2024年2月15日発売ながら29位に入っていて、発売が近づくにつれてランキングを上げてきそう。寒空に放り出された薄幸の少女、上古珠は不思議な髪色した古瀬銀市という名の青年に拾われ、彼が営む口入れ屋で働くことになり、そこで不思議な事件に巻き込まれていく。共に複雑な生い立ちを持った2人が近づいていくストーリーは、最新刊で珠を守るため自らを封じた銀市を救うため、命をかけて封印に入っていく珠の強い思いに触れられそうだ。 新しいところでは、40位に入った森岡浩之『プライベートな星間戦争』(星海社FICTIONS)が面白そう。地球人類が進化の果てに「半神」と呼ばれる群体性情報生命となった未来。神を守って戦う「天使」という種族が生まれ、「神の楯」と呼ばれる宇宙戦艦を駆って神を脅かす「悪魔」と戦っていた。そんな状況の中、新人天使のエクスは悪魔との戦いに出るが、神の命令に何か違和感のようなものを覚えていた。壮大な宇宙を舞台に艦隊戦が描かれた『星界の紋章』の作者による新たなスペースオペラであり、テクノロジーを発達させた人類が行き着く姿を描いたSFだ。
タニグチリウイチ