「第96回アカデミー賞」スピルバーグからノーランへ、監督賞授与「ハリウッドの王位継承の儀式だ」
世界最高峰の映画賞、映画芸術科学アカデミー主催の「第96回アカデミー賞」授賞式が現地時間10日、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターにて行われた。監督賞の発表時は、プレゼンターを務めたスティーヴン・スピルバーグから受賞したクリストファー・ノーラン(『オッペンハイマー』)にオスカー像が手渡され、映画評論家の町山智浩氏は「ハリウッドの王位継承の儀式だった」とコメントした。 【画像】「第96回アカデミー賞」授賞式の現地撮影写真が到着 今回、13部門でノミネートされていたクリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』は、作品賞を含む7部門を制した。クリストファー・ノーラン監督がアカデミー賞で受賞するのはキャリア初。『ダークナイト』では、作品賞にノミネートされなかったことが話題になるなど、これまでオスカーには縁がなかった。 ノーラン監督史上最高傑作ともいわれる『オッペンハイマー』は、第二次世界大戦下、世界の運命を握った天才科学者J・ロバート・オッペンハイマーの栄光と没落の生涯を実話にもとづいて描いた作品。昨年7月の全米公開を皮切りに、世界興収10億ドルに迫る世界的大ヒットとなり、実在の人物を描いた伝記映画としては歴代1位となるなど、興行的にも成功を収めている。 授賞式の模様を生中継したWOWOWの番組にスタジオゲストとして出演した、オスカー受賞監督の滝田洋二郎氏(『おくりびと』で「第81回アカデミー賞」外国語映画賞を受賞)は、放送中に「ノーランに対するこれまでの作品と興行性に対する称賛が(受賞理由として)あったと思う。彼はものすごくフィルムにこだわっている人で、それで新しい時代をつくろうとしている。その彼がフィルムで一時代築いたスピルバーグからオスカー像を渡されたというのが素敵でしたね」とコメント。 同番組で町山氏も「ハリウッドの王位継承の儀式だった。意味のあることだったと思う。スピルバーグもノーランもデヴィッド・リーン監督の『アラビアのロレンス』(1962年)に影響を受けていて、その2人が時代を隔てバトンを受け継いでいるようで印象深い場面になった」と話していた。 ノーランは、『オッペンハイマー』において、IMAX65ミリと65ミリ・ラージフォーマット・フィルムカメラとを組み合わせた、最高解像度の撮影を実践。また、本作のためだけに開発された65ミリカメラ用モノクロフィルムを用い、史上初となるIMAXモノクロ・アナログ撮影を実現させた。 『オッペンハイマー』は、監督賞、主演男優賞(キリアン・マーフィ)、助演男優賞(ロバート・ダウニー・Jr.)、編集賞、撮影賞、作曲賞の7部門で受賞を果たした。 なお、授賞式の模様は今夜(11日 後9:00~)、『生中継!第96回アカデミー賞授賞式』字幕版として、WOWOWプライムで放送・WOWOWオンデマンドで配信される。WOWOWオンデマンドでは3月19日午後11時59分までアーカイブ配信も行う。