スマホ不正疑惑で正念場の将棋界 「電王戦」にも余波
プロとソフト「最終決戦」のはずが……
コンピューターソフトが飛躍的に力をつけたことを受け、プロ棋士とソフトの間では2010年代に入り、対決が続いており、昨年はついに棋士代表とソフト代表が一対一で雌雄を決する「第1期電王戦」が実現。ソフト代表「PONANZA」が山崎隆之叡王(八段)を2対0で破り、ソフトが勝利しました。ソフトの人間超えが叫ばれる中、今春に予定される第2期電王戦には棋士代表として現役名人の佐藤天彦九段が登場。前年同様ソフト代表となったPONANZAとの対決が決定しています。 今回の電王戦について古作氏は「PONANZAを過去の戦いでもプロ棋士に負けておらず、トップアマに100連勝以上する力を示しており、これは名人といえども簡単にできるものではない」とソフト有利を指摘。一方で、「PONANZAもソフト代表決定戦では一敗しており、神ではない。佐藤名人は気持ちのブレが少なく、電王戦に対するコメントも落ち着いている。コンディションが整っていれば最高の棋譜が期待できるのでは」と名人への期待感も示しています。 佐藤名人は代表を決めるトーナメントで羽生善治三冠を下しており、ついに現役名人がソフトと対決ということで「最終決戦」の様相もあり、本来大きな話題になってもおかしくありません。しかし将棋ファンからは「電王戦はどうなるのか」「一連のソフト疑惑で、ゆっくり将棋を見たいという気分になりにくい」という厳しい声も聞かれます。また、佐藤名人が敗れればソフトとの勝負付けは済んだとみられ、「電王戦自体も最後になるのでは」という見方もあります。
「ファン不在」払しょくなるか
今後、将棋連盟は新会長選びに入り、体制の立て直しを目指しますが、対応を間違えれば、ファンが失望して信頼を失い、存亡の危機に直面しかねません。1月に行われた将棋連盟の常務会では「(会長だけでなく)総辞職に値すべきではないか」という意見も出たと伝えられています。また、新会長についても利害関係が絡む現役棋士ではなく、OB棋士などを立てて出直すべきという声も出ています。過去にも将棋界はトラブルが起きても棋士が決めることが大事という姿勢が目立ち、ファン不在と指摘されていました。ファンが再び良い将棋を楽しめるようにするためにも、将棋連盟は正念場を迎えています。