「トレーニングマシンミュージアム」の魅力と奥深さ ゴールドジム行徳千葉アスレチックセンターには黄金時代までの名機がズラリ
ユニバーサル vs. ノーチラス
1970年に市場に登場したノーチラスマシンがもつ可変抵抗カム(注2)はスポーツ界に衝撃を与えました。ノーチラスマシンは瞬く間に全米に広がり、1970年に全米にたった3つしかなかったノーチラスフィットネスセンターは1980年にはなんと6500か所以上にもなったのです。この急速な成長によってジムでの主役は完全にユニバーサルからノーチラスに取って代わられました。もちろんユニバーサルもこれを黙って見ていたわけではありません。いくつもの新製品を市場に投入して攻勢を仕掛けました。ユニバーサルとノーチラスは互いを激しく批判しながらしのぎを削り、あるときは非難合戦がエスカレートして法廷闘争にまで発展しています。しかしこの二社の激しい競争があったからこそ業界が大きく発展したのも事実です。
ヨーロッパの雄 独ギャラクシースポーツ
そしてマシンミュージアムでもう一つ忘れてはならないブランドがギャラクシースポーツ(独)です。ドイツのボディビルチャンピオンであるピーター・ゴトロブが創設したブランドで、1970~80年代にかけて世界的ブランドへと成長します。その特徴は工業立国ドイツならではの精緻な作りでポルシェやベンツなどのドイツ製高級車と並び称されるほどでした。さらに何より素晴らしかったのは米国製トレーニングマシンをも凌ぐ機能性を有していた点です。マシンミュージアムのギャラクシースポーツ製マシンは30年以上経った今もなお輝きを失っていません。
1970~80年代クラシックマシン礼賛
当時のマシンに共通する特徴を考えてみました。 一.人間の動きを徹底解析し、それに合わせて設計しているため躯体は概して大きくて無骨。一方、そのおかげで人間工学(ergonomics)に沿った使いやすいマシンが多い。 二.フレームは何十年と使い続けても壊れない頑丈さを有している。 三.シート・パッドが極端に大きい=身体をしっかり支えてくれる。 四.チェーンとスプロケット(歯車)が多用されている。 五.スプロケット、プーリー(滑車)、カムが大きい。 これらの特徴はその後に登場した新興メーカーからは敬遠されたり切り捨てられたりもしましたが、当時のマシンに未だにファンが多い理由は案外この辺にあるのかもしれません。例えばチェーンは元々曲がる構造のため、曲がり方が複雑になればなるほどスチール製のワイヤーケーブルより動作面で滑らかなはずです。 マシンミュージアムのマシンには一台ごとにストーリーがあり、当時の夢と情熱が垣間見えるような気がします。たまにはそんな感慨に浸りながらトレーニングするのも一興ではないでしょうか。
取材:FITNESS LOVE編集部 写真提供:ゴールドジム