始球式を行った、なかやまきんに君

　自慢のボディーを封印する姿に、誰もが違和感を拭えなかった。福岡出身でお笑いタレントのなかやまきんに君（45）が1日、ソフトバンク―広島戦（みずほペイペイ）の始球式を務めた。結果は悔しいワンバウンド投球。「プレッシャーを感じておりました」。大役を仰せつかった重圧というわけでもなさそうだった。 　筋骨隆々の肉体をこれでもかと見せつける男が清潔感のあるスーツ姿で登場。そのままマウンドに上がり、伸びやかなフォームで投球を披露した。「普段はタンクトップ（に短パンスタイル）で筋肉を見せてる状態で人前に出るんですけど、今日は（着てきた「洋服の青山」の）ゼロプレッシャースーツということで動きには全然プレッシャーはないんですが、楽に投げられたんですけど、どこかで（ファンの方々に）『あれ誰だろう』と思われてしまっているんじゃないかなと…」。 　この日は「洋服の青山スペシャルマッチ2024」と銘打たれた一戦。事情はあれど自慢の筋肉を覆い隠した違和感を感じていたのは、誰よりもきんに君本人だった。ファンはどこかで脱ぐんじゃないかとさえ思ったはずだ。「それが最後まで引っかかってしまったかもしれません。それが投げる時にワンバンになったのかなって思います」。仕事柄浮かんだちょっとした疑問が投球の邪魔をしてしまった。 　「〝あるある〟なんですよ。筋肉で気づかれることはよくあるんですけど、この唯一の武器である筋肉を隠してしまったんで。これで人前に出るって、ないですから。まさか、筋肉を隠したというプレッシャーが…。メンタルの方が来ましたね。やっぱり筋肉を出さないと。それがワンバンにつながったのかなって思います」と最後まで言い訳を通して、なぜか満足そうにおなじみの「パワー！　ハッ」と笑顔を決めて球場を去っていった。