ケータハム 7台を乗り比べ(1) チャップマンの思想を体現したセブン 最大の強みは「軽さ」
最大の強みは軽さ チャップマンの思想を体現
速くて軽く、純粋で楽しい。手頃なキットカーとして始まり、アマチュア・モータースポーツの定番として評価を築いたケータハム・セブンが、誕生から半世紀を迎えた。 【写真】ケータハム・セブン・シリーズ 7台 現代の420カップと170 R 起源のロータスMk VIも (125枚) 現在は複数のエンジンやトリムグレードが用意され、シャシー幅も選択できる。だが、どの組合せだとしても、セブン級に運転する喜びを高次元で提供するモデルは、ほかに殆ど存在しないといっていい。 最大の強みは軽さ。ベーシックなシャシーに最小エンジンを載せた現行モデルの車重は、440kgだけ。マイクロカーを除いて、恐らく世界最軽量な量産車だろう。 ご存知の通り、ケータハムのセブン・シリーズの起源となったのは、コーリン・チャップマン氏が生み出したロータス・セブン。初代は1957年に発表され、3度のアップデートを受けていたが、基本的なパッケージングは継承されていた。 アルミ製の葉巻型ボディでチューブラーフレームを覆い、有能なエンジンをフロントに載せ後輪を駆動。簡素化し、軽く仕上げるという、ロータスを創業したチャップマンの思想が見事に体現されていた。 今回は、グレートブリテン島の中南部に位置する英国クラシックカーのメッカ、ビスター・ヘリテージへ、過去50年に製造された核となる7台にお集まりいただいた。記録破りの1台から、ベーシックなモデルまで、同社の歴史の生き証人といえる。
ロータスから生産・販売権を譲り受けた1973年
ケータハム・カーズがロータスからセブンの生産・販売権を譲り受けた1973年当時、展望が明るかったわけではない。英国は欧州経済共同体(EEC)に加盟し、それまで免れていたキットカーにも、VATと呼ばれる付加価値税が課せられるようになっていた。 チャップマン自身も、キットカーの販売から手を引きたいと考えていた。シリーズ4へ進化していたセブンの生産を終了する、丁度良い機会だと捉えたようだ。その頃、セブンの代理店として英国に唯一残っていたのが、ケータハム・カーズだった。 新たな工場で生産が再開されたセブン・シリーズ4だったが、ボックス状のリアのスタイリングが不評で、期待ほど売れなかった。1974年には、やむなく従来的なシリーズ3のデザインへ戻されている。 付加価値税を支払ってもキットカーの価格はお手頃で、多くのユーザーが自宅ガレージでセブンを組み立ててきた。ケータハム側も、それを推奨していた。 ところが、21世紀になって潮目が変わったと、同社モータースポーツ部門のトップで技術責任者を務めるサイモン・ランバート氏は振り返る。「わたしが2000年に入社した時、80%はキットカーでの販売でした」 「しかし、現在の割合は逆です。自分で組み立てたいという人は減っています」。1998年からキットカーに対する規制が強化されたことに加えて、現代のエンジンが複雑なことも要因のようだ。