更年期障害、疲労回復に効果テキメン…絶対に買うべき「万能漢方薬」とは
漢方薬というと中国独自の薬と思われるかもしれないが、実は違う。5~6世紀頃に中国から伝わった伝統医学をもとに、日本で独自に発展を遂げてきたのが漢方薬だ。 【写真】症状別、困った時に頼りになる!イチオシの「漢方薬」一覧 経験と歴史の積み重ねによって体系化された漢方薬は「非科学的だ」として、西洋医学の世界ではマイナスのイメージが強かった。近代医学が確立するずっと前から「この草を食べたら症状が改善した」という手法を繰り返して、毒と薬の知見を蓄積したのだから仕方のないことかもしれない。 しかし、医学の進歩とともに、漢方研究においても臨床データの蓄積やメカニズムの解析がかなり進んできた。 この記事は前編記事『漢方が「がん治療」で大活躍…!? 最先端の科学で明らかになった東洋医学の「驚くべき効能」』の続きです。
更年期障害も改善
ここからは、私たちが日々かかりやすい症状に対して効果が認められている漢方薬を紹介していこう。まず覚えておきたいのが「補剤」と呼ばれている漢方薬のグループだ。これは健康な体に必要な気力や血液、エネルギーなどをその名のとおり「補ってくれる」力を持っている。新型コロナウイルス感染症の後遺症を治療するため、様々な症状に対して補剤が使われている。 そのなかで、もっともよく使われている「三大補剤」が補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯だ。 「いずれも疲労倦怠に効果があります。加えて、補中益気湯は虚脱状態や食欲不振に、人参養栄湯はせき・息切れに、十全大補湯は冷えや貧血にも有効です。 私自身も疲れがたまってしまい『このまま寝たら風邪をひくかも』と思ったときは補中益気湯を飲むようにしています。そうすると翌朝、目が覚めたときに驚くほど疲れが取れてスッキリしているんです」(前出・大野氏) なんとなく体がだるい、体調が悪いといった症状が出たら三大補剤を使うといいだろう。 ちなみに、人参養栄湯に含まれる生薬のひとつ、オンジ(イトヒメハギの根を乾燥させたもの)には中年期以降の物忘れを改善する効果があることから、脳の機能を改善する作用についても研究が進められている。 不眠症や悪夢、めまいに効果的なのは柴胡加竜骨牡蛎湯だ。生薬である牡蠣の殻や竜骨に含まれる炭酸カルシウムが、熱や興奮を鎮めた後、便と一緒に排出されるという。自律神経の緊張状態をほぐすことから高血圧症にも効果がある。 肥満症や便秘におおいに役立つのは防風通聖散。18種類もの生薬が含まれていて、そのうちのひとつ・マオウ(麻黄)の薬理成分「エフェドリン」が働きかけて脂肪の分解を促進する。 更年期障害の症状を改善するとして医療現場で漢方薬が重宝されるケースも多い。たとえば加味逍遙散は、月経異常や更年期障害など女性特有の症状に効果的。男性にも怒り・イライラを鎮めるために用いられる。