献身的な支えを”人殺し”と一喝した67歳俳優の死に際にゾクゾク。存在感を示したニューヒロインから目が離せない|NHK大河「光る君へ」第14回
新関白の独裁
兼家が亡くなったことで道隆が関白の座に就いた。穏やかで、人望がある、賢明な人……という印象があったが、関白になると自分の身内や懇意にしている者たちの位を上げていく。これをすると、道隆に摺り寄る人間が増え、Noと言える人間は減るだろう。都合よく政は回せるだろうけれど、それが良い方向に働くとは到底思えない。 おまけに、道隆は全く民のことを見ない。民をもっと見る政策を、と訴える道長には下のことは下でやればいい、と一刀両断。その下の者たちがいるから、成り立つことのほうが多いのでは? と思うが……。
いいなあ、ききょう
今回、ググッと存在感を示したのはききょう(ファーストサマーウイカ)だ。 道隆の息子・伊周(三浦翔平)の妻選びのための和歌の会に講師として呼ばれたききょうとまひろ。 「わたくしたちはただのにぎやかしですわ。あほらしッ」とききょう節がさく裂していく。 後日、まひろの家を訪れると、「先日の和歌の会はつまらぬものだった」と一刀両断。 そして和歌の会に来ていたような姫たちが一番嫌い、と言う。 「より良き婿を取ることしか考えられず、志を持たず、己を磨かず、退屈な暮らしもそうと気づく力もないような姫たち」 まひろもわりと言いたいことを言うタイプだったと思うが、思わず「そこまでおっしゃらなくても…」と言う。 「私は私の志のために夫を捨てようと思いますの」「私は私のために生きたいのです」広く世の中を知り、自分のために生きることが他の人のためになるようなそんな道を見つけたい……紙に書いて貼っておきたいような言葉である。 「自分は自分らしく、生まれてきた意味を探す」と言っていたまひろだけれど、今はそれがまだ見つけられていない状況だ。ききょうの言葉もまた、まひろの今後に影響を与えるに違いない。
まひろ、道長が感じる無力さ
自分の生きる道を模索しているまひろ。 まひろはたね(竹澤咲子)という貧しい少女に読み書きを教えていたが、彼女の父親に「文字などいらない」と言い放たれてしまう。自分たちはお偉方の慰み者じゃない、と。 もちろん、まひろは良かれと思ってしていたことだが、たねたちにとって、文字の読み書きが役に立つかは……分からない。まひろは迷いの中にいた。 一方、道長も道隆の政に不服を持ちつつも、何もできずにいる。「なにひとつ為していない」と悔しさもにじませる。 それぞれの想いがあって道を違えたはずなのに……。 忸怩(じくじ)たる思いを抱えているふたりは月を見上げる。見ている月は同じだけれど、ふたりがその悩みを共有することもできないのが、切ない。 <文/ふくだりょうこ> 【ふくだりょうこ】 大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ
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