ミニチュア屋台や多宝塔を制作した９１歳の加藤照和さん＝姫路市西今宿８

　身近な素材を使った工作を趣味にしている兵庫県姫路市西庄の加藤照和さん（９１）が、播磨地方の祭り屋台のミニチュア模型を制作した。鉄工所で働いていた経験や技術を生かし、半年以上かけて精巧に再現。秋祭りシーズンを迎え、通所するデイサービス施設に贈った。（辰巳直之） 【写真】普通の焼肉店と思ったら…まさかのジオラマ！ 　加藤さんはかつて鉄工所を経営。建物に使う鉄骨の製造などを手がけた。６０代後半で鉄工所を閉め、７０歳を過ぎてから段ボールや市販の木材などを素材に模型作りに挑戦するように。器用な手先を生かし、五重塔や多宝塔などを手作りしてきた。 　今回作ったのは、魚吹八幡神社（同市網干区宮内）の氏子、糸井地区の祭り屋台。週２回通うデイサービス「ツクイ姫路西今宿」（同市西今宿８）の男性スタッフが同神社の氏子で、日頃の感謝を込めてプレゼントすることを考えた。同神社の祭りや屋台は見たことがなかったため、屋台の写真を参考にして頭の中で設計したという。 　制作を始めたのは、今年３月。量販店で購入した木や紙粘土、布など１２００点以上のパーツを組み合わせ、９月末に高さ約４５センチの屋台を完成させた。土台である「泥台（どろだい）」の下にある螺鈿（らでん）細工は、同じような模様の紙にニスを塗って光沢を出した。「地元の人にも恥ずかしくないものを作りたかった。これまでで一番の出来」と満足する。 　祭りを好きになったのは約７０年前。友人の紹介で恵美酒宮天満神社（同市飾磨区恵美酒）の秋祭りに参加し、３年連続で屋台練りに加わった。「建物と屋台に挟まれるなど危ない目にも遭ったけれど、参加して屋台練りの魅力を知った。今もこの時期になると、昔の思いがワァーと沸いてくる」と加藤さん。以降、地元の祭りに参加することはなかったが、屋台の構造美に魅力を感じ、これまでにミニチュア屋台を計７台作って知人などに贈っている。 　普段から手作り品をデイサービス施設に贈っているという加藤さん。「これからも人が喜んでくれるものを作っていきたい。次は鉄道模型かな」と優しく笑った。