植田総裁はインフレ見通しに確信を深めている-清水前日銀理事
(ブルームバーグ): 前日本銀行理事の清水季子氏は、最近の植田和男総裁の発言からはインフレ見通しに対して明らかに確信を深めている様子がうかがえるとの認識を示した。
清水氏は19日、「総裁が選んだ、あるいは使った言葉にはややサプライズがあった」と指摘した。その上で、「金融政策決定会合では次の行動について有意義な議論がなされたのだろう」とも述べ、そうした自信が会見での発言につながったのではないかと語った。5月10日に4年の任期を終えて以降、メディアのインタビューを受けるのは初めて。インタビューは英語で行われた。
植田総裁は先週開催された決定会合後の記者会見で、量的引き締めの開始となる国債買い入れ減額の具体策を決める7月会合での利上げの可能性を問われると、データ次第では「当然」あり得るとの見解を示していた。清水氏によれば、植田総裁がこのような確実性を示す表現を使うのはやや異例だという。
清水氏は、「現段階では、特に18日発表のサービス価格といった数字が少し改善している」と述べ、「こうした数字から利上げへ自信を深めているのではないか」との見方を示した。先行き、年内に利上げの可能性があるとみている。
「もちろん、6月会合で何が議論されたのか正確には知らない」とした上で、「このような明確な発言を総裁としてするには決定会合での議論を経て自信を深めることが必要となる」とも語った。
日銀が国債買い入れ減額の具体策は7月会合で決めると発表した後、市場では7月の利上げ観測が後退した。一部の日銀ウオッチャーは、量的引き締めの開始と利上げを同時に進めるのは難しいのではないかとの見方が出ている。
もっとも、植田総裁は7月の利上げリスクを繰り返し発信している。18日には、国債買い入れはもはや政策手段ではなく、政策金利の決定とは「別もの」と述べ、経済データ次第としながらも、場合によっては政策金利を現行の0-0.1%から引き上げることも「十分あり得る」と語った。