ボクシング女子「金」入江さん、カエル愛語る
大山一帯の生態系で重要な役割を果たすカエルをテーマに、地域の自然環境について考えるトークイベント「大山・カエルサミット」が30日、大山農村環境改善センター(鳥取県大山町今在家)であった。鳥取県米子市出身の東京五輪ボクシング女子フェザー級金メダリスト、入江聖奈さん(23)が講演。自然と人間社会の共存の重要性や、深い「カエル愛」について熱弁した。(東大貴) 【画像】 イベントに合わせて飼育展示されたカジカガエル(奥)(鳥取県大山町今在家で)
町在住の自然観察指導員(42)が、県内で絶滅の恐れがある「カジカガエル」などが大山一帯の生態系を保つ中心的な存在であることに着目して企画。東京農工大大学院でカエルの研究に取り組む入江さんらを招いた。
入江さんは現在、新宿や渋谷といった東京の高層ビル街に生息する「ヒキガエル」を研究テーマにしているという。講演で、地方でも生物の生存に適した環境が減少していることに触れ、「カエルなどが街中でどう生きているのかを知ることが、人間社会の発展と生物保全のバランスを守るヒントになる」と強調した。
竹口大紀町長や地元農家を交えたパネルディスカッションもあり、カエルが病害虫の駆除で大きな役割を果たす事例が紹介された。落ちた水路の壁をよじ登れないまま死んでしまう個体がいることも示された。
自らを「カエラー」と呼ぶほど、カエルが大好きな入江さん。集まった町民ら約100人を前に、「カエラーとして、これからもカエルを助ける取り組みが進めばうれしい」と笑顔で語った。