名古屋・河村市長「今の状況では払えません」次回トリエンナーレ予算計上せず
名古屋市の河村たかし市長は3日、市役所で定例会見に臨んだ。愛知県などとの実行委員会形式で3年ごとに開いてきた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」について、次回の2022年開催に向けた市の負担金を20年度の当初予算案に計上しない方針を示した。河村市長は昨年の企画展をめぐって県が実行委を開かず展示再開を決めた経緯などをあらためて批判し、「今の状況では払えませんですわ」と県側に伝えたという。 【ノーカット】名古屋・河村市長「今の状況では払えません」次回トリエンナーレ予算計上せず
愛知県の大村知事との対立が激化
あいちトリエンナーレは2010年の初開催以来、県と市、地元財界の代表などで実行委を組織。県と市は3対1の割合で費用を負担し、4回目となる19年の開催には市が2億円余りを負担することになっていた。 しかし、19年は企画展「表現の不自由展・その後」に出展された少女像や天皇の肖像画を燃やす作品が物議を醸し、展示が一時中止された。河村市長はこの際の対応について「県が出品も再開も決めた。独断、独裁だ」などと批判。19年度の負担金のうち、未払いの約3300万円の予算執行も凍結している。 また、昨年12月に開かれた実行委の運営会議で県側が今回は「成功に終わった」としたことにも反発し、「もう絶対やるなという人も多い。国民の皆さんに謝罪しないと」と述べ、愛知県の大村秀章知事が謝罪すべきだと主張した。
市独自の検証委員会は議論続ける
ただし、市は独自の検証委員会を昨年12月から立ち上げており、負担金のあり方などについて3月中に結論を出すため有識者が議論を続けている。その結論の前に予算方針を決めたことについては「検証委の議論は尊重するが、予算に対する態度は明らかにしないといけない時期。アーツカウンシル(行政と距離を置いた専門家による美術評議会)に関する予算などは確保しており、文化事業そのものは盛り上げる」などと説明した。次回の検証委員会は2月14日に開催を予定している。 一方、愛知県の大村知事は同日の定例会見でこの問題について問われ、「新年度について名古屋市には一切働きかけをしていない。市から(支払わないと)伝えられてもいない」と言明。「県としては12月の有識者による検討委員会で組織体制を組み直して2022年もやるべきだと提言を受けているので、しっかり具体化していきたい」と述べた。 (関口威人/nameken)