名字と名前で分ける封じ手の割り印「佐々木」「勇気」の新手、受け取った王者は動揺…「藤井」「聡太」の分割サインがよぎる[指す将が行く・竜王戦第1局後編]
中村八段を刺激したように、佐々木八段のシュークリーム4連投は抜群の宣伝効果があった。セルリアンタワー東急ホテルの「シューパリジャン」は有名商品となり、ホテルの関係者は「売り上げが1.5倍になりました。品切れになったので至急、作っています」と小躍りしていた。後日、売り上げを精査すると同ホテルのスイーツ売り上げは2倍超になったそうだ。藤井竜王に負けない宣伝効果があった佐々木八段の4連続注文に感謝しきりだった。
封じ手の割り印でも「新手」…藤井竜王「この書き方があったのか」
対局には敗れたものの、佐々木八段は「封じ手」で爪痕を残していた。タイトル戦初登場の佐々木八段は初の封じ手をすることになった。封じ手を入れた封筒に「佐々木」「勇気」と名前と名字を分けてサインし、割り印としたのだ。棋士らは「見たことがない」と口をそろえた。新趣向の封じ手封筒を受け取った藤井竜王は表情を変えず、少し間を取って「藤井」「藤井」とペンを進め、いつも通りの形式でサインした。
局後、佐々木八段の割り印「新手」について藤井竜王に尋ねると「受け取って目にした瞬間、かなり動揺しました。この書き方があったのかと。それならば『藤井』『聡太』と分けてサインしようか、瞬間的にそちらに傾きかけましたが、思い直していつも通り名字で割り印にしました」と、その時の気持ちを明かした。実は挑戦者は「佐々木」「勇気」の割り印について、日本将棋連盟の職員に事前確認を取っていたそうだ。勇気流は大胆に見えて、細やかさを秘めている。
第1局を終えた藤井竜王は佐々木八段の「ダブル注文」を知った。「二つ注文ができるのですね。斬新です。なるほど」と興味を示していた。竜王戦七番勝負は始まったばかり。佐々木八段の盤外での個性的な「新手」を、藤井竜王が拝借する日が来るかもしれない。
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