母が緊急搬送。ついに息子に病名を伝えるときが…

WEB Domani「39歳、子連れ再婚の365日」

バツイチ子持ちの39歳、あおいあんさんの実録再婚ストーリー。夫婦仲に反抗期の子ども、義母との関係etc…リアルな毎日をお届けします。今回は第48回。現在Season3をWeb Domaniで連載中。最新話は毎週月曜日19時更新です！ ------------- 【登場人物】 あん（私）…メーカー勤務のシングルマザー。8年前に離婚し、実家に出戻り。39歳。 蓮…あんの息子。生意気盛りの小学6年生。 臣斗くん…あんの会社の後輩・海斗くんの大学の同級生で再婚相手。34歳。 結衣…蓮の彼女。4年生からS塾に通い中受。 お母様…臣斗の母。英語教師で蓮の中学受験を強力プッシュ。 蒼先生…蓮の家庭教師で東大生。 早苗さん…あんの地元の先輩であり、昨年中受終了組。 【前回までの話】 シングルマザー歴8年を経て、事実婚という形で再婚に踏み切ったあん。義母から中学受験を進められるもあんは反対派でいたが、息子・蓮の前向きな気持ちと、夫・臣斗のサポートもあり中受へ臨むことを決意。 いくつもの壁にぶつかりながら時は過ぎ、冬季講習・正月特訓を乗り越え、メンタルが安定している中迎えた1月入試。まさかの不合格でスタートするも結果は2勝1敗で、お守り校をキープしつつ2月の熱望校へ挑むも結果は不合格に…。 ------------- こんにちは。シングルマザー歴8年から一念発起し再婚へと踏み切ったあおいあんです。 前回は、受験が終わるも2週間小学校へ行けなかった息子・蓮の気持ちをお伝えしました。 臣斗くんの誘いで外食をし、塞ぎ込んでた蓮の気持ちが少し前向きになり安心したのも束の間、自宅へ帰ると大変なことが起こっていた。家に帰るとリビングは真っ暗で、父も母もいなかった。テーブルの上には私が用意した夕飯が食べかけのまま残っていた。嫌な予感しかしない。私はすぐ父へ連絡をした。何度コールしても父は出ない。母に何かあったに違いない。私は父が電話に出るまで何度もかけ続けた。 父：あん 私：何があったの？ 父：夕飯食べてる途中で母さんがお腹痛いって。どんどん顔色が悪くなって冷や汗かいて、救急車を呼んだんだ。入院だって 私：そっち行こうか？ 父：いや、もう遅いから今夜は俺がついてるよ。明日、あんが入院準備して来てくれ 私は「分かった」と言って電話を切った。 蓮：おばあちゃんどうかしたの？ 私：お腹痛くて入院するって。まだよくは分からないけど、多分大丈夫だよ。ママ入院準備するから蓮はお風呂入っちゃいな 蓮は素直にお風呂へと向かった。私は入院が長引くかもしれないとなんとなく感じながら、下着やパジャマを少し余分にバッグへ詰めていく。 次の日、蓮と一緒に病院へ行くと母にはいろんな管が繋がれていた。 私：大丈夫？ 母の顔を見ると少し青白く見える。 母：大丈夫。びっくりさせてごめんね。蓮は今日も学校ズル休み？ 蓮：明日から行くよ 母：そう。なら安心した。ずっと家でおばあちゃんとYouTube見ててもつまらないもんね お腹に力が入らないのか、細く小さな声で話す母。蓮を病室に残し、父と一緒に看護師さんのところへ行くと「今日は検査をして、明日には先生からお話を聞けると思いますが、今回の入院は少し長引くかもしれません」と伝えられた。なんで嫌な予感ほど当たるんだろうか。 父：あんまりいい状態じゃないかもしれないな。受験も終わったことだし、蓮にはきちんと話をしておいた方がいいかもしれない 私はただ頷くことしかできなかった。父は入院手続きをすませ先に自宅へ。病室に戻ると蓮は母のお腹をさすっていた。 母：日曜日一緒に時計買いに行けなくなっちゃったね。ごめんね。ママと2人であの大きな腕時計買いに行ってくれば？ 私：まだ入学式に2ヶ月あるから今すぐ買わなくてもいいいよ。おばあちゃんと3人で行こうね、蓮 蓮は「うん」と言いながらも、母のお腹を撫で続けていた。しばらくすると看護師さんが「これから検査で2～3時間は戻ってこない」というので、母に足りない入院グッズを聞き私たちも帰ることに。家に着くと父は仕事へ行った後だった。母の病気を蓮にどう伝えようか悩んでいると…。 蓮：おばあちゃん退院できないの？ 私：なんで？ 蓮：おばあちゃんがしばらく帰れないからママの言うことちゃんと聞いて、助けてあげてねって言ってた その言葉に目頭が熱くなったがぐっと堪える。今がタイミングかもしれないと思い、私は蓮に母の病気を伝えることにした。 私：受験が終わったから蓮にもちゃんと伝えようと思うんだけどいい？ おばあちゃん前に手術したでしょ、あの時はちゃんと治ったんだけど…実はあの時の病名は癌で、それが再発しちゃったの 蓮は顔色を変えず話を聞いていた。 私：再発した癌は、前みたいに手術で取ることができなくて、おばあちゃんの意思で入院はせず普段通りの生活を送りたいって家で過ごしていたんだけど…明日の検査結果を聞かないとどんな状態なのかは分からないね 癌がどんな病気だかは分かっているはず。でもあまり現実を突きつけたくなかった。すると… 蓮：受験しなければよかった 私：なんで？ 蓮：受験しなければ、塾へ行く時間おばあちゃんとずっと一緒にいられたじゃん 蓮は最悪の状態を想像したのか、そう言うと声を出して泣いた。唇を噛んで震えるくらい我慢したけど、私も涙が溢れて止まらない。「きっと大丈夫」と気休めにもならない言葉を何度も口にしながら2人で泣いた。どれくらい泣いただろう。泣き続けて放心状態になった私たちは母に言われた足りない入院グッズを一緒に揃えた。いつもならYouTubeにかじりついてる蓮も、おばあちゃんのために何かしたいと思ったのだろう。 そして夕飯の準備をしていると蓮が 蓮：明日から学校へ行く。宿題もちゃんとするし、家の手伝いもする。だから休みの日は病院へ連れてって 私：うん。おばあちゃんも喜ぶと思うよ。明日ママ病院へ行くから、お手紙書いたら喜ぶんじゃない？ そう聞くと早速蓮は手紙を書き始めた。明日検査の結果が出る。良い結果ではないことは想像できるけど、最悪の結果でないことを祈らずにはいられなかった。 （次回に続く）