ANA新ブランドAirJapan、初便就航 訪日客狙い成田-バンコク
ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のエアージャパン(AJX/NQ)は2月9日、新ブランド「AirJapan」の1路線目となる成田-バンコク(スワンナプーム)線を開設した。当初は週6往復で、4月30日から週7往復(1日1往復)のデイリー運航に増便する。アジアからのインバウンド(訪日客)がメインターゲットとなる。 【写真】成田空港を出発するAirJapan初便バンコク行きNQ1便 ◆フルサービスとLCC“いいとこ取り” AirJapanは、FSC(フルサービス航空会社)のANA、LCC(低コスト航空会社)のピーチ・アビエーション(APJ/MM)に続くANAグループ第3のブランド。アジア・リゾート路線をグループ内で担う現在のエアージャパンを、FSCとLCCの長所を併せ持つ“いいとこ取り”の航空会社に衣替えした。 9日に成田空港で開かれた式典で、エアージャパンの峯口秀喜社長は「一番の売りである座席の広さを含め、快適性をご堪能いただきたい」とあいさつした。 1路線目のバンコク線を開設後、2路線目の成田-ソウル(仁川)線を週5往復で22日に、3路線目の成田-シンガポール線を週5往復で4月26日に就航させる。4月29日からはソウル線を、30日からバンコク線をそれぞれ週7往復に増便する。機材はボーイング787-8型機で、座席数は1クラス324席となる。 ブランドコンセプトは「Fly Thoughtful」。気遣いや思いやり、やさしさといった意味を込めた。日本のエアラインであることや、日本品質を伝えるためこのブランド名にしたという。ブランドカラーは「藍色」と「曙色」の組み合わせで、藍色は藍染めから「丁寧な技法」、曙色は春の日の出の色として「心地よい暖かさ」を表現した。 初便のバンコク行きNQ1便(787-8、登録記号JA803A)は、満席近い乗客310人(幼児なし)と乗員10人(パイロット2人、客室乗務員8人)の計320人を乗せ、成田空港51番スポットから定刻より26分遅れの午後6時21分に出発し、B滑走路(RWY34R)か同48分に離陸した。バンコクには現地時間9日午後11時43分(定刻同15分)に到着する見通し。 ◆全席エコノミー324席 AirJapan仕様の座席数は、エコノミークラスのみ324席。シートピッチは海外のFSCのエコノミークラスと同等となる32インチ(約81センチ)で、東南アジアのLCCで主流の28-29インチより広くした。ANAの国際線用787は34インチ、国内線用は31インチで、グループ内では中間のピッチとなる。 リクライニングは深めにし、充電用USB端子はType-Aに加えて最新のType-Cにも対応した。個人用モニターを設置せずタブレットホルダーを設け、乗客が自分のスマートフォンやタブレットを置いて、映画などを鑑賞できるようにした。 AirJapan仕様に改修前の初号機(JA803A)は、2クラス240席(ビジネス42席、エコノミー198席)仕様だった。L2-R2ドア付近にあったバーコーナー、L3-R3ドア付近の中央ギャレーを撤去し、座席を設置するスペースに充てた。 L2-R2ドア付近にはパーティションがあり、最前方「Aコンパートメント」と、L2-R2ドアからL3-R3ドアまでの「Bコンパートメント」を区切っているが、L3-R3ドア付近は何もなく、「Cコンパートメント」最前方30列目の座席は足もとがかなり広い。 AirJapanの運賃は、有料オプションを含まない「シンプル」、1500円までの事前座席指定と預入手荷物23キロまでが1個のオプション2種類が含まれる「スタンダード」、3000円までの事前座席指定と預入手荷物23キロまでが2個、一部を除く機内食のオプション3種類が含まれる「セレクテッド」の3種類を設定した。 成田-バンコク線の場合、夏ダイヤの片道運賃は、シンプルが1万7000円から、スタンダードが2万700円から、セレクテッドが2万5300円から。2歳以上6歳以下の小児運賃は、シンプルが8000円、スタンダードが10590円、セレクテッドが1万5300円で、2歳未満はいずれも5000円。燃油サーチャージは徴収しない。 オプションとなる機内食は、日本の良さや地域の魅力が伝わるものを目指し、事前予約が必要なメニューと予約不要のものを用意。エアージャパンによると、訪日客の味の好みに寄せるのではなく、日本の航空会社が出す機内食としての味付けにこだわったという。峯口社長によると、バンコク線は約2割の乗客が機内食を注文しているという、 また、エアージャパンはANAの国際線のうち、アジア・リゾート路線を担っており、今後はANAブランド便とAirJapanブランド便の両方を運航することになる。このため、客室乗務員もANAとAirJapanの制服を乗務に応じて着用する。 AirJapan仕様の787-8は、2025年度までに6機体制とする計画で、すべて全日本空輸(ANA/NH)が運航していた機体を改修。2機目(JA801A)は4月に受領する見込み。
Tadayuki YOSHIKAWA