356や911だけじゃない!F1マシンやトラクターなど希少な歴代ポルシェもズラリと並ぶポルシェミュージアムはファン必見!!
取材でドイツを訪れた大音安弘氏が、ミュンヘンのBMWミュージアムに続いて足を運んだのが同じく南ドイツ・シュトゥットガルトに本社を置くポルシェの「ポルシェミュージアム」だった。 REPORT&PHOTO:大音安弘(OHTO Yasuhiro) 【画像】「ポルシェミュージアム」の展示車両はこちら!
ポルシェのお膝元・シュトゥットガルト
世界中のクルマ好きがもっとも憧れるドイツ車といっても過言ではないポルシェ。その本拠地は、ドイツ南西部に位置するバーデンヴュルテンベルク州の州都であるシュトゥットガルト。本社や工場などのポルシェ関連施設が立ち並ぶエリアにあるファンの聖地となっているのが、公式博物館「ポルシェミュージアム」だ。 ミュージアムを尋ねて度肝を抜かれるのが、目前にあるロータリーに設置されたモニュメントだ。「インスピレーション911」と名付けられた作品は、巨大な三つの柱で構成されているが、なんと先端には、本物のポルシェが飾られている。その名が示すように、全て911であり、1970年のFシリーズ、1981年のGシリーズ、そして、設置時の最新型となる2015年の991の3台が出迎えてくれるという演出なのだ。 ポルシェミュージアムの広大なエントランスには、ずらりと最新ポルシェが並ぶ。こちらは展示車ではなく、なんとレンタカー。ドイツを尋ねた記念にポルシェをドライブなんて、夢も叶えてくれる。価格こそ安くはないが、最高の旅の記念になるだろう。因みに、日本でも公式レンタカーサービスである「ポルシェドライブレンタル」が展開中だ。 入館料は大人12ユーロなので、日本円で2000円ほど。展示内容を鑑みればお得だと思う。建物には地下駐車場が完備されており、クルマでの来場も可能。駐車代もミュージアム利用者には、最大6時間までは4ユーロ(約660円)という割引料金が設定されている。
充実した施設と展示が魅力のミュージアム館内
館内は上層階が高めのユニークな3階建て構造となっており、その2階と3階のフロアが展示スペースとなっている。施設内にはミュージアムショップやカフェエリア、レストラン、ワークショップなども併設。展示エリア内にも休憩スペースがあるので、1日ゆっくりと観覧するのも有りだ。 ポルシェミュージアムの特徴は、車両中心の展示であること。市販車だけでなく、試作車やレーシングカーなども多く並ぶ。まさに何処を見ても、「ポルシェ、ポルシェ、ポルシェ」なのだ。 その展示をより楽しむためのお助けアイテムが、携帯型の「音声ガイド」。展示プレートは、英語とドイツ語の二カ国語なのだが、そのプレートにある三桁の数字を音声ガイドに入力すると、八カ国語での音声や文字、動画による解説や資料を提供。もちろん、日本語にも対応している。嬉しいことに無料で貸し出しをしてくれる。 展示エリアで、見学者を最初に出迎えてくれる展示車は、なんと電気自動車。もちろん、最新型EVの「タイカン」ではなく、今から126年も前の1896年に誕生したEVである「エッガー・ローナーC2フェートン」だ。同車は、創業者であるフェルディナンド・ポルシェ(F・ポルシェ)が最初に携わったEVといわれる。さらに1900年のパリ万博博覧会には、ポルシェが設計した「ローナー・ポルシェ」が出展され、高い評価を受けた。 ポルシェのクルマ作りの原点が、EVというのは意外。しかし、その背景には、F・ポルシェが幼い頃から電気に興味を持ち、学んでいたことがあるのだ。当時は、静かで乗り心地の優れることで注目された電気自動車だったが、充電時間や航続距離などの課題により、劇的な進化を遂げるエンジン車に主力の座を奪われる結果となった。今の電動化シフトを進めるポルシェを見て、F・ポルシェは何を思うのだろうか。そんな空想も掻き立てられる瞬間だった。