【叡王戦第4局】藤井聡太八冠は追い込まれても縮こまらない…現役最年少棋士・藤本渚五段が見た
将棋の藤井聡太八冠=竜王、名人、王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖=が31日、千葉県柏市の「柏の葉カンファレンスセンター」で指された第9期叡王戦五番勝負第4局で挑戦者の伊藤匠七段に132手で勝利した。負ければ八冠陥落の危機だったが、踏みとどまりシリーズ成績を2勝2敗のタイとした。現役最年少棋士の藤本渚五段(18)が前を歩く藤井と伊藤の熱戦を見た。 ************ 藤井先生の立ち回りがすごく上手だなと思う一局でした。伊藤先生の角換わりで穴熊に組むというあまり見慣れない形にも動じず、序盤から悩ましい局面をつくっていきました。 ポイントとなったのは、66手目の△9五歩を突いた手。この局面は▲同歩以外にも▲5五銀とぶつけたり、▲7五歩と突いたりと、いろいろこわい手があるんですけど、そこを見切られてか、決断よく指されたのはすごみを感じました。後手玉も堅くはないので、自分だったらもう少し悩んでしまうなと…。 また、途中▲8七角と△6四角と角を打ち合いましたが、藤井先生の角はその後もよく働いていったのに対し、伊藤先生の角は止められてしまい、そこで差がついてきたのかなと思います。ただ、伊藤先生が戦法選択などで悪かったところはなかったと思う。藤井先生がただただ、すごく完成された感じでした。追い込まれてからの藤井先生がどういう感じなのか僕は知らなかったので、少し気になっていたのですが、縮こまるところが全くなく、いつもと変わらない藤井先生だなと思いました。 (フルセットまでいって)伊藤先生は悪くなってもそれ以上は悪くならないように頑張る力の高さを感じます。第3局は伊藤先生が終盤で逆転するという形ですごかった。藤井先生が時間に追われる状況だったので、そういうところも大事なのかなと。 もちろん僕もタイトル戦を戦いたい気持ちはあるのですが、お二人の戦いを見ていると自分はこのレベルでまだまだ出られる気がしないなと…このシリーズを見て勉強して、自分もすこしでも成長していって、結果に結びつけることができればいいなと思います。
報知新聞社