広島県廿日市市、国・県に4560万円返還へ 「吉和魅惑の里」建設時に受けた補助金 施設の民間譲渡決定で金額確定
2023年3月から休業している広い島県廿日市市吉和の保養施設「吉和魅惑の里」を巡り、市は、民間譲渡を決めたのに伴い、建設時に国や県から受けた補助金の返還額を取りまとめた。国への3240万円と県への1320万円で、計4560万円。開会中の市議会定例会に提出した23年度一般会計補正予算案に盛り込んだ。 市観光課によると、返還するのは、1991~2014年度に管理棟やホールなどのハード事業で受けた7種類の補助金。補助金の対象施設や年度がばらばらで整理に時間がかかっていた。 市は、昨年9月に市内の酒造会社「サクラオブルワリーアンドディスティラリー」に売却すると公表。譲渡後の施設の使用方針も踏まえて補助金の返還額をようやく確定した。 今後、同社に建物を3800万円で売却し、約38万平方メートルの用地の一部を貸し出す方針。同社は、ウイスキーの蒸留所を備えた観光施設として、25年秋から26年春にかけての開業を目指す。 魅惑の里は、合併前の旧吉和村が1994年7月に開設。温泉やレストラン、宿泊施設などを備え、近年は約1万5千人が訪れていた。市は2015年に策定した公共施設再編計画で、市所有の観光施設での民間ノウハウの活用を掲げ、魅惑の里は当初、昨年春の売却を目指していた。 同課は、指定管理料や維持補修に年間5千万円かかっていたと説明。「コストがかかり、公共施設のあり方が問われる中で、民間の力でにぎわいづくりにつなげていきたい」としている。
中国新聞社