メルセデス代表、F1チーム間の協力関係のリセットを求める「誰もが満足できる状況を目指すべき」
レッドブルとビザ・キャッシュアップRB(以下RB)の関係強化をきっかけに、チーム間の提携やパーツの販売について、ルール改正を望む声がF1で高まっている。メルセデスのトト・ウルフ代表は、全チームが納得できるような”リセット”を望んでいる。 【F1ハイライト】F1 2024第2戦サウジアラビアGP決勝 最も声高に主張しているのは、マクラーレンのザク・ブラウンCEOだ。彼は協力しているチームが得られるアドバンテージが大きすぎるため、現在のF1レギュレーションが「目的に合っていない」と主張。2026年のレギュレーション変更に向けて状況を変えるべきだと訴えている。 メルセデスは、アストンマーティンやウイリアムズにパワーユニットだけでなく、ギヤボックスやサスペンションを供給しているチームだが、ウルフ代表はF1全体にとって何がベストなのかを再考するべき時が来たと語った。 重要なのは、完全な独立系チームやマニュファクチャラーチームだけでなく、外部の助けを必要としている小規模チームにも適した道を見つけることだとウルフ代表は考えている。 「10チームすべてが満足できるような状況が必要だ。だからそうした協力が必要な小規模チームを除外しているわけではない」 ウルフ代表はそう語った。 「単純な持ち株比率によって姉妹関係にある企業もある。マクラーレンのように独立したビッグチームや、多くの企業と関係がある我々もそうだ。2026年はそれをリセットできるポイントなんだ」 ウルフ代表は、チーム間の顧客関係を終わらせるとしたら、コンポーネントを販売しているメルセデスにとって財政的には悪いニュースだとしながらも、より強固なルールがあった方がF1全体としては良いだろうと話した。 「ここで言っているのは、我々自身のビジネスについてだ。我々はパーツを供給することで良い収入を得ているからだ」とウルフ代表は言う。 「アストンマーティンとウイリアムズにはサスペンションを、加えてアストンマーティンには風洞での空力サービスも販売している。これはかなり利益に貢献している」 「しかし私はむしろ、そうしたモノが一切なく、我々すべてがコンストラクターであることを望んでいる」 ウルフ代表は、特にF1における共通オーナーのチームを排除すれば、特定のチームが投票でルール変更を阻止するようなシナリオもなくなるだろうと考えている。 「ザクが指摘したように、もしひとりの人間がすべての決定を下すとしたら、あるいは少人数のグループが2チーム分の決定を下すとしたら、このスポーツにおけるガバナンスにどんな意味をもたらすだろうか」 「10グループからなるF1委員会の中で、2票を持っているんだ。我々の誰も、それは持っていない」 「議論があるのは分かっている。『ウイリアムズが君たち(メルセデス)と同じように投票している』という意見もある。だが統計を見てみると、それは事実ではないし、シャシーに関連することすべてに当てはまるわけでもない」 「アルファタウリとレッドブルの間で、シャシー関連のトピックやその他の投票に違いがあるのを見たことがない。それは投票を決めるのがおそらくひとりだからだ」 ウルフ代表は、レッドブルのF1への貢献を無視すべきではないと認めた上で、現在参戦しているチーム全員が満足できる状況を作ることが重要だとも語った。 「レッドブルにはレガシーがある。このスポーツは、彼らに多くの借りがある。彼らはふたつのチームを持ち、資金を提供し、素晴らしいジュニアプログラム、サーキット、そして多くのブランド価値を持っている。彼らは他の小さなチームとは違う」 「だから株主レベルでは、その貢献度に基づいてかなり難しい議論になると思う。しかしもう一方では、我々F1はコンストラクターのスポーツであり、(各チームが)同じ施設、場所を共有していて同じ権利を持っているんだ。常に曖昧さが残るのは明らかだと思う」 「我々はレギュレーションについて見てみる必要があると思う。規制は十分に強固なものなのか? 安全だと言えるほど十分に取り締まられているのか? 抜け穴はないのか? 2026年に必要なものは何なのか? それが主な疑問だと思う」 「誰もが安心できるようなレギュレーションを定義することが重要だ。完全な独立が難しいハースのような小さなチームから、他のチームやカスタマーと関係を持たないチーム、共同出資で同じ場所に拠点を持つような大きなチームまで『誰もがこの状況に満足している』と言えるようになることこそ、我々が取り組むべきことだと思う」
Jonathan Noble