アジア2冠をKO防衛も京太郎のヘビー級世界戦が1億円で暗礁
さてそのヘビー級の世界戦である。 角海老宝石ジムの鈴木眞吾会長が、先日、WBOの総会に出たところ、「もう日本での試合が決まっているんだろう、ぜひ日本でやってくれよと、多くの関係者に言われて」逆に困惑したという。 WBO7位。挑戦資格もあり、パーカー側も京太郎を挑戦者に迎えることにやぶさかではないようだが、夢の実現には障害がある。萩森健一マネージャーが言う。 「テレビの協力と資金ですね。ファイトマネーに最低でも1ミリオン(約1億1000万円)は必要になります」 テレビ局のバックアップがなく1億円の資金をかき集めるのは容易ではない。 京太郎は、「向こう(ニュージーランド)に行ってもやりたい」と言うが、パーカー側の狙いは、京太郎に“もれなくついてくる”と目論んでいる高額ファイトマネーである。 「日本人初のヘビー級の世界戦です。紅白歌合戦よりも、ある意味価値のあるイベントです」 確かに萩森マネージャーの言う通りだが、いかんせん、京太郎だけでなく、世界王者としてのパーカーのネームバリューも、大晦日決戦へとテレビ局を動かすには、モノ足りないのかもしれない。 「ボクシングは30歳までと決めていたのにもう31歳ですよ。1年も長くやっている。世界のリングにたどりつくというモチベーションがあるからだけど、そう長くやる気はない。後は上の人が決めることだけど、やるべきことはやった。世界のリングに立ってみたい」 京太郎の悲痛な心の叫び。 4年前に復活され第2代王者となった日本ヘビー級タイトルは、現在、挑戦者がいないため実質、棚上げになってしまっているが、長らく未開の地だった日本のヘビー級は、K-1から転向してきた京太郎がこじ開けた世界である。日本人には難しいとされていたヘビー級で19戦18勝(10KO)1敗のキャリアを残して世界ランクにも入った。“誇り高きヘビーの開拓者”に、ぜひ日本人初となるヘビー級世界戦という晴れ舞台に立って欲しいが、実現のハードルは、想像以上に高い。流行のクラウドファンディングで夢の実現への賛同者を集めるのも一手だとは思うが、1億円という設定額をクリアするのは至難かもしれない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)