新NISA開始2カ月、口座件数が大幅増 金融機関はキャンペーンに力
新たな少額投資非課税制度(NISA)が始まって1日で2カ月になり、金融機関はNISAの口座件数を大きく伸ばしている。現金還元などのキャンペーンに加え、取引先企業の従業員向けの運用セミナーも強化。年初からの株高も追い風になっている。 【一覧】新旧NISAの比較 広島銀行(広島市中区)は1、2月のNISA口座の新規開設件数が、昨年12月よりそれぞれ5、6割増えた。2月13日には、口座開設と投資信託の購入でスマートフォン向けアプリの特典ポイントを付けるキャンペーンを始めた。40代以下はアプリでの開設が目立ち、キャンペーンで上積みを図る。 広島銀は「投資経験のない若い層の割合が徐々に高まっている」とし、窓口で保険やローンなど家計に関する相談にも乗っている。 もみじ銀行(同)は、NISA口座の運用残高が2022年末時点より5割伸びた。口座開設や投信購入で現金を還元するキャンペーンを展開している。国内企業の株価上昇を受け、日経平均株価に連動した商品も売れている。「開設しただけで利用していない人も多い。購入額はまだ増えそう」と見込む。 広島信用金庫(同)は窓口以外の接点も強化している。取引先の従業員向けセミナーで、本部の職員だけでなく研修を受けた支店の職員も講師を務められるようにした。「中小企業は人手確保策の一環で、従業員の資産形成を支援したいと考えている」と説明する。 新制度は長期の積み立てなどに適した「つみたて投資枠」と、幅広い投信などを扱う「成長投資枠」がある。旧制度より投資できる金額が増えたほか、非課税の保有期間が無期限となった。 一方、元本を下回るリスクもある。ある金融機関の担当者は「顧客にリスクを説明し、どれくらい許容できるのかを把握するのが大事。信頼を失えば新制度は失速するだろう」と指摘する。
中国新聞社