ハン・ヒョジュ×パク・ヒョンシクが最高のケミ 『HAPPINESS/ハピネス』のメッセージ性
韓国ドラマに出てくるカップルのケミストリーが良すぎて、寝ても覚めても一生ロスを味わうことがある。最近Netflixで配信がスタートしたドラマ『HAPPINESS/ハピネス』がまさにそうだ。謎の感染症が蔓延する少し先の未来を舞台に、“共存”と“家”をテーマとして一棟の新築マンションに取り残されてしまった住人と警察官たちを描く本作。新型コロナウイルス以降の世界という設定で、物語の展開や込められたメッセージは考えさせられるものが多い。主演をハン・ヒョジュとパク・ヒョンシクが務め、演出は『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』のアン・ギルホ監督が手掛ける。本記事では、そんな『HAPPINESS/ハピネス』の見どころを紹介していきたい。 【写真】『殺人者のパラドックス』何かを見つめ暗い路地を歩くチェ・ウシク 警察特攻隊員のユン・セボム(ハン・ヒョジュ)は、幼い頃から自分の居場所を持てずにいたことでマイホームを持つことを夢見ていた。ある日、職場の団地入居募集があり、結婚が入居条件の手助けになることを知ったセボムは、高校時代の同級生で刑事のチョン・イヒョン(パク・ヒョンシク)に偽装結婚を持ちかける。程なくして、念願の新居に入居した2人だったが、マンションの中から不可解な物音がし始め……。さらに、人を襲い噛み付く感染症のニュースが報じられ、セボムたちの住むマンションが完全に封鎖されてしまう。 ■何十通りもの「愛してる」が聞ける純愛物語 あらすじを読むとサスペンススリラーを想像したくなるのだが、実は壮大な純愛物語とも言える本作。劇中で直接的に「好きだ」「愛してる」というセリフは少ないが、セボムとイヒョンのシーンは常に愛で溢れている。 高校時代に怪我で野球人生を諦め、虚無感でいっぱいのイヒョンをセボムが勇気づけたところからゆっくりと恋が動き出した2人。極限状態に追い詰められた瞬間に隣でそっと手を握ったり、相手が傷付いた時は自分ごとのように怒りが爆発したりと、2人の関係性は危機を乗り越えるたびに契約を超えたものになっていく。“イヒョンには私がいる”、“(セボムがいつ発病するか分からないからこそ)僕がそばにいる”という言葉の数々が、いつしか“あなたが好きで堪らない”と聞こえてくる。向き合うというよりも常に背中合わせで相手の背後を守り、互いの存在自体が家という落ち着ける場所になっていくのが心地良く、ずっと2人を観ていたくなると思う。 ■複数視点で描かれるパニック状態と共存 感染症が蔓延し、生死の境に立たされるマンションの住人たち。自分のことを考えるのに必死で食料を独り占めしたり、感染した人を住居から退去させようとしたりと、極限まで追い詰められた時の人間の行動が複数の視点からリアルに描かれているのも見どころの一つだ。 手を取り合おうとするキャラクターがいる一方で、これでもかと場をかき乱すキャラクターの存在に、本当に恐ろしいのは感染症そのものよりも人間なのかもしれないと思えてくる。混沌とした状況下で、最低限のルールを作り、住民を守ろうとするのが、イヒョンやセボム。共存をテーマに、追いやるのではなく共に生きる道を探す過程は、強いメッセージ性を感じると思う。 ■臨場感溢れるアクション イヒョンとセボムが危機を乗り越えるなかで、数々の躍動感溢れるアクションシーンが観れる本作。劇中では、ハン・ヒョジュの体当たりな演技が印象的で惚れ惚れしてしまうと思う。また、セボムを救うために車の上に飛び乗り銃を向けるパク・ヒョンシクのシーンがあまりにまぶしくて何度も何度も観たくなる。手を繋ぎ全速力で走ったり、野球バット片手に守ったりと、最後まで2人のアクションから目が離せない。 ■頭に焼きつくタイトルバックとOST 各話の始まりに、浮かび上がるように出てくる『Happiness』の文字。これからどんな物語が始まるのかを一コマで表す表紙ページのような役割を果たしており、幸せとは直接結びつかないような混乱したシーンとタイトルのアンマッチさが一層心に残る。また、始まりではeの文字だけ反転しているが、各話の終わりでは正しい表示に戻る演出が面白く、バラバラだったキャラクターが同じ方向へ向いていく過程とマッチしているようにも思う。さらに、疾走感あふれるOST(オリジナルサウンドトラック)の掛け合わせが一層スピード感を持たせており、始まりと終わりまでしっかり味わいたくなる作品だと思う。 最後に緊張感のある本編とのギャップが観れるのが、メイキング映像だ。ハラハラした後にはぜひ、撮影の裏側も堪能いただきたい。YouTubeにアップされたメイキング映像には、ハン・ヒョジュやパク・ヒョンシクの明るい素顔やNGシーンなどが映し出されており、キャストやスタッフの和やかな雰囲気が画面を通して伝わってくる。息のあった掛け合いが、どのように作られていったかなど、見どころが詰まっている。
韓国ドラマ好きのだらだら子