＜甲子園交流試合・２０２０センバツ３２校＞大分商、笑顔晴れやか 花咲徳栄に１－３ 上り調子、川瀬投手が粘投 ／大分
２０２０年甲子園高校野球交流試合初日の１０日、大分商は開幕試合で花咲徳栄（埼玉）と対戦し１―３で敗れた。２０１７年の夏の覇者を相手に許した得点は初回のみ。中盤に１点を返す健闘もみせた。創部１００年目の節目での甲子園出場を勝利で飾れなかったが晴れやかな笑顔で球場を去った。 【真夏の熱闘】交流試合の写真特集はこちら 試合は大分商の主将でエースの川瀬堅斗投手（３年）と昨秋の公式戦チーム打率３割９分を誇る花咲徳栄の強力打線との対決が注目された。 川瀬投手は立ち上がり制球が定まらず一回に３四死球を出すなどして３失点。しかし、二回以降は徐々に持ち前の速球に威力が増し、毎回走者を出しながらも要所を締めて追加点を許さなかった。 ピンチの場面では何度も守りが川瀬投手をもり立てた。四回には２死から三塁打を打たれた後、一塁手・上野英暉選手（同）がフェンスぎりぎりの邪飛を好捕して、前半の相手打線の流れを断ち切った。 攻撃で見せ場を作ったのは六回だった。渡辺温人選手（同）と岩崎竜也選手（同）が安打で出塁。この試合初めての１回複数安打で２死一、三塁と好機を広げると、続く末田龍祐選手（同）の遊ゴロが遊撃手の一塁手への送球ミスを誘って１点を返した。 ◇ＯＢ会長も自宅で応援 １９６９年の夏の甲子園に出場したＯＢ会長の多嶋田明さん（６９）は自宅で大分商を応援。「大商のユニホームは昔とほとんど変わらない。甲子園で見られるのは感無量だ」と話した。 大分商にとって２３年ぶりに手にしたセンバツへの切符。ＯＢたちの期待も高まっていた。しかし、新型コロナやお盆前という時期から、ＯＢ会で集まることも難しく、集合しての応援は見送った。多嶋田さんもテレビで大分商の活躍を見守った。 初回に３失点。それでも諦めず、ひたむきなプレーを続け、二回以降を無得点に抑えた。三回、併殺が決まったとき、思わず感嘆した。「きれいなゲッツーだった。守りの大商だ」 「甲子園に行くのと行かないのでは全然違う」と多嶋田さん。「甲子園を夢見て、つらい練習に耐えてきた。自分もそうだったが、この経験は、今後の学業でも仕事でも支えになってくれるはずだ」と後輩にエールを送った。【辻本知大】 ◇大舞台「堅斗でかした」 川瀬投手の父、選手宣誓見守る 「この状況下で野球ができて幸せだと思いますし、これで勇気づけられる人がいたらいいな。彼の言うとおりだと思います」 大分商の川瀬堅斗投手（３年）の父、保生さん（６３）は甲子園球場のスタンドから選手宣誓を見守った。 川瀬投手は「堂々と大役を果たしたい」と、自室で１日あたり５０回も宣誓の練習を繰り返した。その成果を目の当たりにした保生さんは「こんな大舞台に立って、堂々と、それでいて感情もこもっていた。でかしたという気持ちです」と話した。 中学時代に生死をさまよう大けがをしたが、それを乗り越えて始めた高校野球。センバツや夏の甲子園が中止になり、何度も心が折れかけたが集大成で憧れの舞台に立った。今後はプロの道を目指す。 「試合内容も十分。帰ってきたらハグしたい。堅斗が野球をやってる姿をいつまでも見ていたい」。保生さんは息子の成長を喜んだ。【辻本知大】 ……………………………………………………………………………………………………… 大分商 ０００００１０００＝１ ３０００００００×＝３ 花咲徳栄 （大）川瀬―末田 （花）高森―中井 ▽三塁打 田村（花） ▽二塁打 飛川（花）
