【鬼木監督の「最後の取材」で聞いた川崎フロンターレの絆のこと、中村憲剛のこと(2)】鬼木監督が「花束が似合う男でした」と話す谷口の粋な行動と、「僕もお礼を言えた」と明かす中村との会話
■鬼木監督「本当に花束が似合う男でした」
川崎フロンターレの武器の一つは、絆だ。その中心にいた鬼木達と中村憲剛の関係性が、何よりもその証拠である。そしてそれが、次の世代へと伝播していく。 谷口彰悟も、それを受けて成長した一人。鬼木監督の元でキャプテンを務めて“最強のチーム”の称号を欲しいままにした33歳のCBは、ベルギーでの負傷後、一時帰国していた。その中で、鬼木監督の退任の話を知る。 プロ入り後からお世話になっている恩師のために何かできないか――居ても立っても居られなくなった谷口が起こした行動は、花束を持ってクラブハウスに向かうこと。 「あんまり言うとあいつは嫌がるからあれですけど、本当に花束が似合う男でしたよ。ありがたかったし、いろんな思いがありますね」 鬼木監督は感謝をそう言葉に表す。 ※ ※ 中村憲剛はピッチの上からは離れており、谷口もすでに海外に羽ばたき、鬼木監督も来季からは違うチームの指揮を執る。それでも、3人が、いや、これまで多くの人々が積み重ねてきた川崎フロンターレらしさはこのチームに残っている。何より、その空気を存分に知っているサポーターが常にそばにいる。 監督が100人いれば戦術が100通りあるように、来季、新監督のもとで戦い方は変わるはず。それでも、変わらないであろう精神的な強さはきっとある。その強さを胸に秘めて、川崎フロンターレは歩き出す。8つ目のタイトルを取るために、そして、新たな歴史を刻むために。 (取材・文/中地拓也)
サッカー批評編集部
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