HJCヘルメットサービスの話を通して見えてきた、MotoGPライダーたちの“意外”な素顔
「クアルタラロは細かくないですね。極端な話、なんでもいい。クアルタラロは去年うちに来て、今年で2年目ですけど、“任せる”と言われちゃって。とくに問題なのは雨なんです。ヘルメットのシールドが曇っちゃうのが問題になるので、うちのヘルメットは、できればエアマスクは使ってね、と伝えています。息苦しくなるから使いたくない、というライダーがいるんですけど、クアルタラロは“いいよ、使うよ”って」 「去年のアルゼンチンGPの話ですが、アルゼンチンは湖が横にあって、湿気も多いし、シールドが曇る可能性が高かったんです。そこでファビオには、“ベンチレーションを全開にすると、雨水が入ってくることがまれにあるから、中くらいに開けてね”と伝えたんです。実際には中くらいに開けられるポジションがないので、そのポジションでテープで止めました。去年のアルゼンチンGPでは、全MotoGPライダーがシールドに問題を抱えたんです。でもファビオは、全然問題なかったと言っていたし、自分で見ても問題なかったです」 「ファビオの場合は、“このほうがいいんじゃない?”、“こうしよ?”と言うと、聞いて、やってくれます。こちらを信頼してくれて、受け入れてくれるんです。“これはこうじゃなきゃいやだ!”というような自分のポリシーを持っているライダーもいますけど、ファビオはほんと柔軟にやってくれます」 そんなヘルメットサービスのエピソードを聞いていると、クアルタラロ選手、ビンダー選手のキャラクターが伝わってくるようにも思います。この日やってきたルエーダ選手も、にこりと笑う笑顔が素敵なライダーでした。 ヘルメットサービスで見られるライダーたちの細かな癖やこだわり、そして“顔”は、彼らが積み重ねてきた時間の中で作られてきたことであり、コース上とはまた違う表情なのだろうな、と思うのです。
伊藤英里