【山口県】徳機が日本材料学会技術賞 加工難度の高い素材、国内初の製品化
材料に関連する工業技術の進歩と発展に貢献したとして、山口県周南市の徳機(岡田哲矢社長)が国内で初めて製品化した「9%ニッケル鋼鏡板」が18日、日本材料学会中国支部の技術賞を受賞した。 鏡板は形状が鏡もちに似ていることからついた名前で、曲げ板の各辺を溶接した半円形の製品。圧力容器などの両端をふさぎ密閉する役割がある。同社は石油プラントや船舶用タンクに用いる大径のステンレス製鏡板を数多く手がけ、鋼鈑の切断、曲げ加工、溶接、検査、出荷までを自社で一貫生産している。 9%ニッケル鋼の鏡板は、愛媛県の造船会社、新来島どっくが徳機の技術力を見込み、2021年4月に製造を依頼。受注品は、自動車数千台を載せる運搬船のLNG(液化天然ガス)燃料タンク、1,500立方メートル型に採用するもので、氷点下170度の超低温に耐えることができる。
ステンレス板に比べて強度に勝り、薄く軽いなどの長所を持つが、磁気を帯びやすいため加工が難しい。脱磁器を使った溶接トレーニングなど、社員の技術レベル向上を実現し、国内初の製品化を成し遂げた。 重油に比べて二酸化炭素の排出量が少なく環境負荷が低いことから、LNG燃料船舶は増加傾向にある。同社はこれまでに50枚ほどの鏡板を出荷。現在もバックオーダーを抱え旺盛な需要に応えている。 18日に岡山大学で開かれた表彰式には、鏡板事業部の友弘隆士部長(69)と水ノ上翔課長(36)が出席した。友弘部長は「今後はアンモニアや水素など二酸化炭素を排出しない燃料のタンクの鏡板も検討し、国産技術による環境への貢献にこだわっていきたい」▽水ノ上課長は「我々が作ったものが名誉ある賞を受賞し、非常にうれしい。これを機に当社のことを広く知ってもらえたら」と喜んだ。