「光る君へ」柄本佑「望月の歌」を詠む心境&秘話「半泣きで…」まひろへの視線「ここから救い出してくれ」
俳優の柄本佑(37)が、NHK大河ドラマ「光る君へ」(日曜後8:00)に藤原道長役で出演。傲慢な権力者というパブリックイメージと一線を画す道長像を魅力たっぷりに演じている。第44話では「望月の歌」を通説とは異なる解釈で詠んだ。柄本はスポニチのインタビューに応え、「望月の歌」に込めた思いを語った。 <※以下、ネタバレ有> 「ふたりっ子」「セカンドバージン」「大恋愛~僕を忘れる君と」などを生んだ“ラブストーリーの名手”大石氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ63作目。千年の時を超えるベストセラー「源氏物語」を紡いだ女流作家・紫式部の波乱の生涯を描く。大石氏は2006年「功名が辻」以来2回目の大河脚本。吉高由里子は08年「篤姫」以来2回目の大河出演、初主演となる。 第44話で孫の敦成親王を帝に即位させた道長は名実ともに国家の頂点に立つ。さらに、威子を中宮にし、3つの后の地位を自らの娘で独占した。威子が中宮になったことを祝う宴で和歌を詠んだ。「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも 無しと思へば」。 一般的には権力をほしいままにした道長のおごりの歌と解釈されるが、今作は違う。「この世」を「この夜」、「望月」を「三后」、月と杯の「つき」をかけた「今日はいい夜だな。三人の后は望月のように欠けていない」という意味で解釈された。道長の穏やかでのんびり屋な一面を描いてきた今作ならでは、だ。 第44話は道長が孤立を深める回でもある。柄本は「道長はどんどんひとりぼっちになる。追い詰められている心境。演出の黛(りんたろう)さんとこの状況でどうやってこの和歌を詠むのか話した。“苦虫をかみちぎりながら半泣きで言っているんじゃないか。やけくそになって言わなきゃだよね”となった」と明かした。和歌を詠むシーンを「雑念が邪魔をするので難しかった。先生の歌い方をまねました」と振り返った。 和歌を詠んだ道長は、まひろと結ばれた満月の夜を思い起こしながらまひろと見つめ合う。「まひろを見る時は自信に溢れているのではなく、ここから救い出してくれという意味合い。強がりもせずにその瞬間は三郎でいる。僕はそんな心境でやっていました」。 大役を演じ切った柄本。「大変に素晴らしい経験をさせていただいた。道長役は挑戦だったしありがたかったです。ただ、この経験がどんなものだったかは10年後くらいに感じることなのかな」と語った。「2年やっていると完成しなくてもいいと思える豊かさがある。2年の現場で培った関係値の厚みを1日の現場で凝縮して出す方法はないか考えています」と、早くも未来を見据えていた。