「守備職人」が美技で沸かせる 報徳学園が持ち味発揮 センバツ
◇センバツ高校野球決勝(31日、甲子園) ◇●報徳学園(兵庫)2―3健大高崎(群馬)○ 【激闘の決勝戦を写真で】健大高崎-報徳学園 報徳学園の野球は「守備から」。1点差で惜敗したものの、守備職人たちが好プレーを連発した。 五回の守り。1死二塁から三遊間に強烈なゴロが襲った。遊撃手・橋本友樹は飛び込んで逆シングルで捕球。送球はショートバウンドしたが、一塁手・斎藤佑征(ゆうと)が難なくさばいた。次打者を右飛に打ち取り、追加点を許さなかった。 報徳学園の内野陣は美技の連続で球場を沸かせた。一回2死二塁では三遊間を抜けそうな強いゴロを三塁手・西村大和がダイビングキャッチし、二回も二塁手の山岡純平が一、二塁間を抜けそうな打球を二ゴロにした。健大高崎の遊撃手・田中陽翔は「めちゃくちゃうまい選手ばかりだったので、自分たちは守備では勝負せず、攻めに集中することにした」と脱帽した。 ベンチ入りメンバーに大柄な選手は少なく、山岡は「長打を打てる選手がいなかった」。チームとして選んだ道は、打力向上でなく「守備で日本一になる」。冬場は「球際」と守りに必要な足の力を表す「守備足」の強化をキーワードに鍛え抜いた。 普段の内野ノックでは、大角健二監督が放つ強烈なゴロを繰り返し捕球。さらに、内野手は自主的に併殺を狙う練習を毎日のように行った。橋本は「甲子園で監督以上の打球はなかった」、山岡は「ここにこういう球が来たらゲッツーにできる、ここならアウト一つだけと一瞬で判断できるようになり、一歩目が早くなった」という。 センバツ100年の節目を迎えた今大会。報徳学園は前回に続いて決勝で敗れ、センバツ史上初となる昭和、平成、令和の3元号での優勝はならなかった。だが、全5試合でわずか2失策。記録には残らないが、投手陣の被安打をいくつも減らし、橋本は「やってきたことは出せた」とうなずいた。 大角監督は守備力の向上が準優勝につながったことを「すごい収穫」とし、こう続けた。「これからの戦い方を生徒たちが逆に示してくれた。これからのチーム作りもやりやすくなったなっていうイメージですね」【森野俊】