巨人・大勢、失ったクローザーの座…「情けないという気持ちはあります」どん底で誓った復活への決意
当時、巨人はBクラスに低迷。2年連続でBクラスに終わることだけは避けたかった。 そんなチーム事情もあって弱音を吐けず、結果、悪循環に陥る。肘は制御が効かなくなっていた。 そして、プロ入り後初めての二軍降格。守り続けたクローザーの座も失った。 大勢:「交流戦前ですよ。神宮で内山(壮真)にホームラン打たれた時。あの時さっさと切り上げておけばよかった。そしたらこんなに長引いていなかったのに」 戦線を離れ、初めて漏らした後悔の言葉。痛みを伴いながら投げた代償は大きかった。 一軍に上がろうとも、投げることすらできない。1か月経っても2か月経っても肘の状態は戻らなかった。
◆怪我をして改めて感じたリスペクト
しかし、“どん底”を味わった中で、ある人物の存在が頭をよぎる。 大勢:「大谷さんも二刀流をやられて怪我されて。あんなにすごいのにあんなに謙虚で野球に向き合っていて、プレーされている姿に見ている人も感動する」 それは、右肘の手術から復活を遂げた大谷翔平。 WBCでその姿を間近で見ていた大勢は、怪我をして改めて大谷の凄さが理解できたのだという。
大勢:「メディアや表に出ない部分で、僕たちが思っていた以上に、体・栄養・トレーニング・投げ方、一つひとつレベルの高い考えを持っていました。チョコレート1個食べるのも渋っていたので。『これ食べるとよくない』って。勝つことだけを考えていましたね。 (侍ジャパンには)自分のプレーで人を沸かせたり感動させたりできる選手がたくさんいた。こんなケガくらいでへこたれていられないというか、また這い上がっていく姿を見せていきたい」
◆怪我しない体づくりを目指し肉体改造
悔しさを胸に、復活を誓う今シーズン。大勢はこのオフ、新たな取り組みに着手していた。 大勢:「1年間ケガしないように、その体づくりや正しい姿勢を意識して、1年間しっかり余力を残しながらシーズンを完走できるような体づくりを目指しています」 目指していたのは、ケガを防ぐ疲労しない体づくり。そのために大勢が練習のポイントとして挙げたのは…。 大勢:「体が連動していくと一生懸命頑張らなくても球はいきますし、スムーズに腕が走る感じはしている。もっとそういう連動性を活かして投げて、1年間故障しないパフォーマンスが出せる体と投球フォームを手に入れたいと思います」 意識していたのは“連動性”。 全身を連動させれば、無駄な力を使わずとも強い球が投げられる。疲労は溜まらず、ケガを避けることができるというのだ。 では、実際にどのように体を連動させようとしているのか? トレーニングを見てみると、重りを使ったものから使わないものまで、さまざま。それぞれまったく違う練習に見えるが、実はすべて「腸腰筋」という筋肉を使うために行っているという。