今年１月に双葉町で行われた２０歳を祝う式典。対象５３人のうち出席は９人だった

　福島県双葉町は、旧成人式に当たる２０歳を祝う式典を来年１月は開催しないと決めた。東京電力福島第１原発事故に伴う長期避難により町外で暮らす若者が多く、近年は出席率が低くなっていた。代わりに１８～２０歳を対象に町内を巡るツアーを９月に実施し、古里への愛着を深めてもらう。 　町は原発事故により全町避難となり、避難した町民が多い郡山市やいわき市で式典を継続した。当初は出席率が８～９割ほどで推移したが、徐々に減少。今年は町内で行われたが、対象者５３人のうち出席したのは９人だった。近年は避難先の市町村が主催する式典に参加する傾向が特に強くなっているという。 　今年度、２０歳を迎える人は原発事故発生当時、小学校入学前だった。式典の出席率が年々低くなる中、小中高を避難先で暮らした世代は古里の記憶が薄れているとみて、双葉の今を伝えるツアーを催すのが最適と判断した。 　９月２８、２９の両日、１泊２日の日程で繰り広げる。避難指示が解除されたＪＲ双葉駅周辺や東日本大震災・原子力災害伝承館などを巡る予定。参加者同士の交流会も計画している。運営は一般社団法人ふたばプロジェクトに委託し、交通費や宿泊費は町が負担する。

　町生涯学習課は「ツアーを通じて、まずは町を知ってもらうきっかけにしたい。双葉への関心を高めてもらうため、継続的に町に関われるような場もつくっていきたい」としている。