EVの負け組どころか営業利益は5兆3529億円! トヨタ絶好調の理由を探る
トヨタの営業利益は5兆3529億円!
2024年も5月は中旬をすぎて、国内自動車メーカー各社の2023年度(2023年4月~2024年3月)の決算が出そろった。日本の自動車のように外貨で食べている産業にとって、今の記録的円安は猛烈な追い風だ。実際、自動車各社の2023年度決算は、まさにわが世の春……ともいうべき数字がおどる。 【写真】日本の上場企業で営業利益が初めて5兆円を超えたトヨタ自動車。2023年度決算発表会の模様や最新モデルの写真をもっと詳しく(12枚) 売上高では、認証不正で出荷停止が続いたダイハツ工業以外の乗用車7社が、こぞって過去最高を記録。本業でのもうけを示す営業利益についても、トヨタ自動車が日本の上場企業初の5兆円を突破(!)したほか、昨年度は赤字だった四輪事業が黒字化した本田技研工業の1兆3819億円、スズキの4656億円、マツダの2505億円、そして三菱自動車の1910億円も、それぞれ過去最高だったという。 日産自動車の5687億円、スバルの4682億円という営業利益は過去最高とはいかなかったが、3年前に赤字だった日産はこれで2年連続の黒字で、しかも今年度は前年度比で1916億円の増加である。スバルの営業利益も同じく2年連続の増加であり、しかも今年度は前年度比で75%増の高い伸び率を示した。加えて、売上高は両社とも過去最高なのは前記のとおりで、絶好調であることには変わりない。 なかでも、飛びぬけた数字を示しているのはトヨタだが、規模が大きいだけでなく、その伸び率も圧倒的だ。45兆0953億円という売上高は前年度比で21.4%増、5兆3529億円の営業利益にいたっては96.4%増(つまり約2倍!!)である。ちなみに、この営業利益は自動車メーカー世界2位の独フォルクスワーゲングループの3兆円弱も大きく上回る。 トヨタはちょうど1年前の2022年度決算でも2兆7250億円という営業利益を計上したが、多くの自動車メーカーが増益にわくなかで、じつは減益だった。それはコロナ禍や部品不足、原材料費高騰に苦しむサプライヤーへの支援やサプライチェーン全体の体質強化、さらに研究開発費の積み増しによる支出を原因とした。ただ、トヨタはその決算発表時、次の2023年度の予想として「半導体供給の好転が予想されることに加えて、サプライチェーンの体質改善や工場稼働率向上のために積極的に投資してきた取り組みが実を結ぶ」として、3兆円の営業利益を見込むと語っていた。