【木原防衛相インタビュー②】日米同盟の抑止力確保 特定重要拠点「丁寧に説明」
―在沖米海兵隊の第12海兵沿岸連隊(MLR)が2023年11月に発足した。日本の安全保障上、どのような意義を持つか。また自衛隊との連携をどのように進めるか。 「わが国周辺の安全保障環境が格段に厳しさを増す中で、MLRへの改編によって在日米軍の体制が引き続き高度な指揮統制能力を確保しつつ、より多面的な能力を有し、より強靭性があって、より機動的なものに強化される。こうした取り組みは日米同盟の抑止力・対処力を確保する上で極めて重要だと認識している」 「MLRは機動展開前進基地作戦(EABO)を実行する部隊として対艦ミサイルや自隊の防空能力、後方支援能力、機動力などを保持する。こうした能力は防衛力整備計画のもとで自衛隊が重視する能力でもある」 「こうした部隊が沖縄に駐留することで、各種事態において自衛隊による領域横断作戦と、米海兵隊のEABOを踏まえた日米共同対処をより迅速かつ円滑に実施できることとなる」 「現時点では部隊の名称変更が行われたのみなので、部隊の編制、装備等の変更については2025年までに改変を行うとのスケジュールに沿って引き続き検討していくとの説明を受けている。これに伴う訓練内容等の変化については現時点で予断を持って答えるのは控えたい」 ―総合的防衛力強化に向けた南西地域の公共インフラ整備や円滑な利用に向けた政府方針について、沖縄県は現状では判断できないとの認識を示している。今後、県にどのように説明するか。また、インフラが所在する市町村が政府方針を容認しても、県が受け入れない場合は整備や枠組みの設定はできないとの認識か。 「今回の取り組みの趣旨は、国家安全保障戦略に基づいて総合的な防衛体制を強化することだ。民生利用を主としつつ、自衛隊や海上保安庁の円滑な利用にも資するように公共インフラ整備を進めていく」 「防衛省は関係省庁と連携し、2023年9月以降、沖縄県を含む関係自治体を訪問し、説明を行ってきたところだ。先般、沖縄県から、現時点では不明点が多く、引き続き国と調整を進めていきたい旨の回答があった。政府としては、沖縄県からいただいた質問に対しては誠実に対応させていただきたい。不明点があれば国にご連絡いただくように、お伝えている」 「今回の取り組みは今後も継続する。厳しさを増す安全保障環境への対応のみならず、民生利用を主とすることから、沖縄振興にも資することを踏まえ、防衛省としては引き続き関係省庁と連携しながら、沖縄県と丁寧に調整を進めさせていただきたい」 「本件の取り組みは、空港や港湾のインフラ管理者と政府との間で円滑な利用に関する枠組みについて合意した上で実施するものであることから、インフラ管理者が県である場合には、県の合意が得られない場合は、本件の取り組みの対象とはならない」 ―先島諸島の空港・港湾を特定重要拠点に指定することに対し、石垣市、与那国町は受け入れる考えを示しており、県とは温度差がある。国として今後、どのように対応するか。 「石垣市長、与那国町長とはお会いして、前向きなお考えは私自身も直接聞いている。地元自治体のご意向は、こちらもありがたく受け止めながら、一方では地元住民にも丁寧に説明を続けなければならないと思っている。県についても、ご理解をいただけるように説明を尽くしていかなくてはならない」(続く)