Living in Sapporo《中国人》周さん前編 美術品通じて日本を知る
【北海道・札幌】200万人近い人口を抱える北海道の道庁所在地・札幌。「さっぽろ雪まつり」を代表とする世界規模のイベントも開催され、多くの観光客が訪れる街だ。その札幌には多くの外国人(2011年の札幌市の調査によると「札幌の外国人登録者数」は9500人強)が住んでいる。そこで札幌に住んでいる外国人に「札幌の魅力」を聴く「Living in Sapporo」の不定期連載をスタート。第7回目前編では、「白い恋人」で有名な石屋製菓で中国人観光客に商品・施設紹介をしている周丹(しゅう・たん)さんに日本に来たきっかけを聞いた。 (インタビュー・構成/橋場了吾)
生まれ故郷・湯原県は札幌に似ている
私が生まれたのは、中国北部・黒竜江省の湯原(とうげん)県です。小さな田舎町で、中学時代まで過ごしました。気候的には札幌に似ていますが、冬は雪が少なく気温が低い…、マイナス20度以下になることもあります。 主な産業は農業で、一番有名なのは米です。その他、玉ねぎや人参なども収穫されるので、この部分でも札幌に似ていると思います。また、湯原県で特徴的な食べ物といえば、もつ鍋です。 日本のもつ鍋はもつや野菜を切ってそのまま煮込みますが、湯原県のもつ鍋はもつを串に刺してから鍋に入れます。その方が食べやすいですよ。私も実家に帰るたびに食べるくらい、大好きな食べ物です。そういえば、日本の餃子と中国の餃子もちょっと違って、中国の餃子には餡にニンニクを入れず薬味にニンニクを入れます。 学生時代はスポーツよりも勉強の方を頑張っていたタイプです。あとは、母親と一緒に料理をするのが好きでした。料理人になりかったわけではなく、いい奥さんになりたかったようです(笑)。学生時代の夢は「先生になること」。師範学校に入り大学まで進学、卒業後は子供たちに美術を教える先生になりました。
日本に興味を持ったきっかけは「芸術と美術」
実は私の祖父・父が大工をしていたので、木工美術品には小さい頃から親しみを持っていました。そのような幼少時代の記憶と美術を子どもたちに教えていたことから、勉強すればするほど視野が広がり、日本の商品と包装のデザイン・ポスター・ロゴなどが私を感動させ、日本の美術品に一気に惹きこまれていきました。そして、世界的に有名な日本のアニメに興味を持ったことで日本に行って勉強することにしました。 2009年7月1日に初めて日本に来たのですが、まず日本語を勉強しなければ文化を理解できないので、札幌の大通にある日本語学校に通い始めました。初めての日本が、札幌だったんです。その後、北海道教育大学岩見沢校で2年間、美術文化専攻研究生として学びました。 もちろん、東京・大阪・京都・九州などほかの地域で日本語や日本の美術を学ぶということも考えたのですが、故郷と気候が似ていること、そして自然・木材が豊富にあるということが決定打となって札幌に来ることを決めました。 ※後編は3日(日)に掲載します。