慌ただしい取材現場 とにかく“全集中”
さらに「ヒヤリ体験」は続きます。収録後はニュースで使用できそうな個所をパソコンで編集して本社に送信する作業があるのですが、その送信を危うく間違えそうになりました。原因は前述の分配器からの音声不調にさかのぼります。その時、パソコンの中に格納されている“前年の音声ファイル”を確認していました。前年と音質が明らかに違うことで今回の不調が改めてわかったのですが、音声のファイル名は前年と今回では日付以外同じ。危うく前年の音声を送りそうになったのです。「危ねえ、危ねえ」。直前に気づいたため、これも“未遂”に終わりました。 一連のトラブルはいずれも私特有のもので大事には至りませんですが、その後も仕事が終わって帰宅するまで、何か忘れていないか、何か抜けてはいないか、間違えてはいないか……神経を“全集中”していました。
ラジオの記者は現場に向かう時はほとんど1人。取材手続き、現場セッティング、音声収録、編集・送信作業、原稿作成、ある時はレポートとあらゆる作業を直近のニュースに間に合うよう短時間で行います。もちろん普段から高い集中力が求められるのですが、何かのバイオリズムでしょうか、経験上、歯車がくるい、トラブルがトラブルを誘発したり、何をやってうまくいかなかったり、ヒヤリとする日が1年に何回かあるものです。そう感じる時はそういう日だと諦めながら、より細心の注意を心掛けます。作業が終わって緊張がゆるむ瞬間は、特に“要注意”です。そんな日が何回もないことを祈りますが……。 と、ここまで書いて、小さいころの遠足、学生時代の旅……、先生や仲間から言われたことを思い出しました。 「家に帰るまでが遠足(旅行)です」 これは現場取材にも当てはまることだと思っています。本年も心して当たります。 (了)