「ジャニーズと間違えてんのちゃうか」営業で子どもが3万人集まった…?「吉本新喜劇」を飛躍させた間寛平と木村進の「伝説」
「やめよッカナ?キャンペーン」
花紀京と岡八朗、間寛平と木村進──時代を作るにはライバルが必要だ。その言葉が真実だと思い知らされる。 僕はちょうどリアルタイムで、寛平さんの活躍を見ていた世代だ。だから3万人の子供が集まったという話は実感できる。それほどの凄まじい人気だった。しかし右肩上がりだった新喜劇の歴史が、未曾有の危機を迎える……。 80年代初頭までは劇場の目玉だった吉本新喜劇だが、漫才ブームの到来で、やすし・きよし、カウス・ボタンなどの大勢のスター漫才師が誕生した。それと反比例するように、新喜劇の人気が下火になった。 このままでは新喜劇は存続できない。そう判断した上層部は、大手術を敢行する。それが、『新喜劇やめよッカナ? キャンペーン』だ。半年間でのべ18万人を動員できなければ、新喜劇を解散するという趣旨のものだった。スタッフも役者も一度全員解雇し、一からテコ入れすることになった。 看板スターの花紀京、岡八朗は勇退し、主力の座員達は悔しさを噛みしめながらも脇役に回った。中堅やベテランの座員達は戦力外通告をされ、新喜劇を去っていった。新喜劇の歴史上、存続か滅亡かの瀬戸際だったのがこの時期だ。 次回に続く…
浜口 倫太郎(作家)