【コシノジュンコ】「今日が一番若い」力強い言葉と衰えぬ創作意欲 “だんじりのまち”岸和田から世界へ飛翔したファッションデザイナーの『原点から現点まで』過去最大規模で
「1回だけ着なかったら負けた」コシノジュンコとスポーツ
光があるから良い影ができることも、衣装が提灯のように収縮し、持ち運びやすいことも「合理的」。同時に、意外性や面白さを求めてデザインしてきたことも、言葉の端々に垣間見える。 自身の衣装は「誰かの記憶に残るための応援団」と語るコシノさんは、近年、格闘技や野球、サッカーなどスポーツのユニフォームや衣装も手がけている。その効果は「1 回だけ着なかったときに負けてしまった」というエピソードもあるほどだ。 2012 年から衣装を手がけているのが、躍動感あふれる演奏が特徴的な和太鼓エンターテインメント集団「DRUM TAO」。初めてその公演を見たとき、「この人たちに自分の衣装を着せたら面白くなりそう」と直感したという。コシノさんの衣装をまとい、今ではブロードウェイでも活躍する。コシノさんの衣装は「着たとたんにスイッチが入る」不思議な力が宿っているようだ。約 2,000 点あるという衣装のうち、本展では約 30 点が公演の映像とともに展示されている。
まるでファッションショーのランウェイ
後半に展示されるのは、見どころの一つである華やかな衣装をまとったマネキン。約 25m にもおよぶ作品群は、まるでファッションショーのランウェイさながら。マネキンがまとうのは、2015 年に京都国立博物館で開催された特別展覧会「琳派誕生 400 年記念 琳派 京(みやこ)を彩る」のオープニングショーで、コシノさんが「能とモード」をテーマにファッションショーを行ったときのもの。 「ファッションショーが静止して見られるのが今回の展示。あまり見る機会がない、見たことがない人に見てほしい」とコシノさんは語る。そばには衣装のデザイン画が並ぶ。デザイン画はまず、ヘアスタイルを先に描き、その後洋服を決めるという。衣装は一見着物のようで、実は「1分で着られる着物スタイル」。コシノさんはこれらを「Tシャツドレス」と呼ぶ。着るのが大変そうな着物のイメージを覆すべく、海外でも簡単に着られるようデザインしたという。