打撃練習をするソフトバンク山川（撮影・梅根麻紀）

　ソフトバンク山川穂高内野手（32）が22日、プロ11年目で初めて臨む頂上決戦制覇へ原点回帰を誓った。26日にDeNAと7年ぶりに再戦する日本シリーズが、敵地横浜で開幕する。今季パで本塁打＆打点王の2冠に輝いたが、データの少ないセ相手の交流戦は大苦戦。「来た球を打つ。原点に戻って」とシンプル思考に切り替えて臨む。FA移籍1年目、西武での10年間で立てなかった大舞台で、チームを4年ぶりの日本一に導く一打をかっ飛ばす。 【一覧】クライマックスシリーズ結果、日本シリーズの日程 　　　　◇　　　◇　　　◇ 　いよいよ3日後、セパ頂上決戦が幕を開ける。対戦相手がDeNAに決まった一夜明け、山川はみずほペイペイドームで柵越えを連発した。全体練習のフリー打撃で、白球を軽々とスタンドまではじき飛ばした。「どこが相手でも準備をしっかりして」。日本シリーズは西武時代の10年間で1度も出場がかなわず、プロ11年目で初参戦。その表情は引き締まった。 　実はデータも少ないセ相手の交流戦は良い結果が出ていない。今季は18試合で打率2割3厘、0本塁打、3打点と沈黙。34本塁打、99打点で打撃2冠に輝いた主砲が完全不発に終わった。「対戦数が少ないので。（投手の）イメージがちょっと湧きにくい」。今季敵地横浜で対戦したDeNA戦も12打数3安打で打率2割5分、0本塁打、1打点。通算でも17試合で打率1割3分6厘、3本塁打、8打点と良い思い出は少ない。 　だが、借りを返す絶好の大舞台がやってきた。それが日本シリーズという大一番。腹はくくっている。「原点に戻って、来た球を打つ。短期決戦は基本的にそういう感じ」。シンプル思考に切り替え、すべてのマイナス要素を打開する。 　全神経を研ぎ澄ませ、1打席に勝負をかける。4勝先取で勝ち負けが決まる。143試合の長丁場を戦うレギュラーシーズンは「捨てる打席に近い打席はあった」と明かした上で、きっぱり言った。「短期決戦は捨てる打席はない。1回1回の勝負」。全集中で勝利に導く一打に徹する。 　「注目度は高いですよね」。10球団がオフシーズンに突入する中、2球団のみが日本一決戦を戦える。ホークスが同シリーズでDeNAと戦うのは4勝2敗で制した17年以来。当時もパ1位とセ3位の対決で下克上を許さなかった。チームは18年の第3戦からシリーズ12連勝中の無双状態。4年ぶりの頂点奪還へ、機運も高まっている。「今までやってきた野球をする方がいい。いい雰囲気でできると思うので、楽しみにしています」。自身はプロでまだ1度も日本一がない。味わったことのない歓喜の瞬間へ、背番号25が4番の重責を果たす。【佐藤究】