ディーン・フジオカの「五代沼」「五代ロス」に陥る人続出!NHK連続テレビ小説「あさが来た」
俳優やアーティスト、映画監督にプロデューサー、絵本作家など、さまざまなジャンルで非凡な才能を発揮しているディーン・フジオカ。芸能界デビュー当時は、台湾のエンタメ界を中心に活躍していた彼が日本で大ブレイクを果たすきっかけとなったのが、2015年に放送されたNHK連続テレビ小説「あさが来た」での五代才助(のちの五代友厚)役だ。 【写真を見る】 幕末の関西を舞台に、京都の豪商・今井家の次女・あさ(波瑠)と、あさと夫婦になる大阪有数の両替屋・加野屋の次男・新次郎(玉木宏)の半生を明るいタッチで描いた物語で、ディーンは近代大阪経済の父と呼ばれる五代友厚を演じている。五代は第3話、物語の序盤で早くも登場し、あさの人生に大きな影響を与えるキーパーソンなのだ。 許婚へ会いに行く姉の付き添いで京都から大阪へやって来た少女時代のあさ(鈴木梨央)は、活気溢れる街の様子に大はしゃぎし、走り回っているうちに、見知らぬ美青年な武士と衝突してしまう。彼が持っていた拳銃があさの振り袖のたもとに滑り込んだことも知らず、「Sorry」と外国語で謝罪し、風のように去っていくこの武士こそが才助。そんな才助の初登場シーンをディーンは、これ以上ないほどの爽やかさで好演。その後、路地で拳銃をなくしたことに気付くシーンでの豊かな表情には、観る者が「この登場人物も、演じている役者も、ただ者ではないな...」と思わずにいられないほど、強烈な印象を残したことでも知られている。 街中での追いかけっこの末、曲がったことが嫌いなあさから"身分を超えた抗議"を受けたのを機に、すっかりあさのことを気に入ってしまった五代。第9話ではイギリス・ロンドンからあさへ手紙と洋装姿の自分の写真を送るなど、ストーリー内で確かな存在感を示す中、第15話のエンディングでは、シルクハットにストライプのスーツという、それまでの侍姿とは全く異なるスタイルで再登場。美しく成長したあさを真正面から見つめ、肩に手を置きながら「それでこそ、おいが見初めたおなご」と、語りかける場面でディーンが見せる瞳の輝きには、誰もが胸の高鳴りを覚えてしまうこと間違いなしだ。 その後、幕末から明治という激動の時代の中、大阪府権判事という要職に就いた五代は、大阪に一大商業圏を構築するために奮闘。第27話では、あさの家を訪れ、義父・白岡正吉(近藤正臣)に「大阪商人の皆さんに力を合わせてカンパニーを作っていただきたいのです」と熱弁を奮い、爽やかな笑顔と英語と薩摩弁なまりが入り混じった熱い語り口で正吉を口説き落とそうとする。しかし、その場にお茶を出しにやってきたあさの無気力ぶりに怒りを覚えた五代は、あさを「おい、そこの娘!」と呼び止め、説教を開始。五代の「あんたにもこの店にも、もう用はない。潰れるんやったら勝手に潰れたらええ」という売り言葉を買った、あさを演じる波瑠とのバトルシーンは要注目だ。それまではにこやかで洗練された言動の五代が、感情を露わにしながら、あさと口ゲンカを繰り広げる。ディーンと波瑠による息詰まるような演技合戦にハラハラさせられるも、あさの歯に衣着せぬ物言いに感動した五代が「ワンダフル」と、またもや瞳を輝かせる。ディーンが浮かべる少年のように無邪気な笑顔にハートを射貫かれる女性が続出。彼を「五代様」「おディーン様」と呼ぶ熱狂的ファンが急増したことは、多くの人の記憶に刻まれているだろう。 爽やかな笑顔とパワフルな生きざまで、主人公・あさを導いていく五代をドラマチックに演じきったディーン。劇中で年齢を重ねていくごとに大人の色気を倍増させていった彼の魅力が遺憾なく発揮されたのが、第77~78話にかけての物語だ。心の友・大久保利通を暗殺で失い、嘆き悲しむ五代を演じるディーンの姿は、乱れた長い前髪も手伝って、とてもセクシー。その上、自分の身を案じ、駆けつけてくれたあさに弱みを見せる場面では、それまでの五代のパワフルなイメージからのギャップも手伝い、女性ファンをさらなる"五代沼"へと引きずり込んだ。 五代がその生涯を終えたという描写のある第95話が放送された当時は、「五代ロス」というキーワードがネットを埋め尽くしたほど、多くのファンに愛された五代を見事に作り上げたディーン。彼の大ブレイクのきっかけとなった名演技をその目で再確認してみてほしい。 文=中村実香
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