UBSと三井住友THの合弁、クレディSの富裕層事業統合-発表
(ブルームバーグ): スイスのUBSグループ傘下のUBS証券と三井住友トラスト・ホールディングス(TH)は8日、合弁で運営する日本の富裕層向け事業をクレディ・スイス・グループの同事業と統合させると正式に発表した。
発表によると、UBS証と三井住友THが共同で設立した「UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント(UBSスミトラ)」が、日本を拠点とするクレディ・スイス証券から同事業を取得する。これに伴い、社員や顧客・預かり資産はUBSスミトラに移管する。
日本の富裕層向け事業を巡る今回の動きは、経営不振に陥ったクレディSを2023年に救済買収したUBSによる世界的な部門統合・再編の一環と位置付けられる。UBSとクレディSの事業持ち株会社は6月末までに合併する見込みで、富裕層事業の統合はそれ以降になる。
UBSは比較的多額の金融資産を持つ顧客層向けビジネスに強みを持ち、1口座当たりの預かり資産の世界基準は最低で原則200万ドル(約3億円)。「ウルトラハイネットワース」と呼ばれる同資産規模数十億円の資産家などがメインターゲットで、UBSスミトラもこれに準じている。
日本では富裕層が増加傾向にある。野村総合研究所の推計によると、保有金融資産5億円以上の「超富裕層」は05年の5万2000世帯から21年には9万世帯と7割増えた。この層の保有資産額は全体で46兆円から105兆円と2倍以上に拡大。関連ビジネスの魅力は増している。
UBSスミトラは20年にUBS証51%、三井住友TH49%の出資で設立された。UBSによるクレディS買収を受け、UBSは三井住友THとも協議しながらクレディSの日本の富裕層向け事業の扱いを検討してきた。事情に詳しい関係者によると、今回の統合でクレディS証から移る社員数や顧客数、預かり資産の規模は分からないという。
UBSはアジアで基準に満たないクレディSの口座を見直している。関係者によると、今回の統合でクレディS証から移管される一部口座は整理の対象となる可能性もある。クレディSは09年に日本の富裕層向け事業に参入。当時は金融資産10億円以上の層をターゲットに顧客開拓を進めるとしていた。