中国依存の欧州株は売りとゴールドマン、米重視銘柄はドル高の恩恵も
(ブルームバーグ): ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストは、中国の消費低迷や貿易面で緊張感が高まっていることを理由に、同国での売り上げに大きく依存する欧州企業の銘柄について売りを推奨している。
リリア・ペイタビン氏率いるチームは、その代わりに、米国へのエクスポージャーが高い企業の銘柄を買いに推奨。主な推奨銘柄の中には、デンマークの製薬会社ノボ・ノルディスクや英エネルギー大手BPが含まれる。
同チームは、中国で消費意欲が低下していることに加え、高級品への課税に向けた政府の動きや、欧州連合(EU)による中国製電気自動車(EV)の輸入関税引き上げ措置に対する報復の可能性について警告している。
ゴールドマンの銘柄バスケットは、主に高級品や自動車、基礎資源、半導体といったセクターで構成される。ペイタビン氏は10日のリポートで、「高級品のバスケットでは、年初から足元までにかなりの業績下方修正があり、今後も続くと懸念している」と指摘した。
ゴールドマンがショートにしている銘柄には、欧州の一部大手企業も含まれる。これには、中国での売り上げが全体の17%を占める高級ブランドグループ、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンや、同様に21%を占める化粧品メーカーのロレアルといったフランスの銘柄が入る。ドイツのメルセデス・ベンツ・グループは36%と、欧州の自動車メーカーで最も高い。
一方、11月に米大統領選を控え、世論調査では現在トランプ氏がリードするが、その通りの結果となれば、ドルに有利に働く可能性が高い。
ドル高シナリオの場合、ヘルスケアとメディア関連が大部分を占め、比較的ディフェンシブ色が強いバスケットの構成銘柄が恩恵を受けやすい。中でも肥満症治療薬を製造するノボは米国での売り上げが59%を占める。その他、英国の教育関連会社ピアソンや、欧州の防衛大手BAEシステムズなどの銘柄もある。
このグループは、「構成企業の大半が米国で直接事業を展開しているため、関税引き上げの場合は、影響を回避できる可能性が高い」という。