動物の何げない日常、漫画で描き20年 「クスッと笑えて面白い」、愛媛の飼育員
愛媛県立とべ動物園(愛媛県砥部町)の飼育員宮越聡さん(45)が、動物の生態や何げない日常を捉えた漫画を20年以上描き続けている。周囲や読者から「クスッと笑えて面白い」と好評だ。「一般の人が知らない動物園の奥深さや、命の営みを伝えていきたい」。これからも漫画を通じ、魅力を発信し続けていく。(共同通信=英佳那) 飼育員からスマートフォンを奪い設定を変更するチンパンジー、せっかく巣を作ったのに別の場所に卵を産むゴイサギ―。宮越さんは2003年から同園の機関誌に短編漫画を掲載し、ページの下には動物の豆知識も紹介。「動物に表情を付け、読みやすさを心がけている」という。 小学6年の時に訪れた大分県のサファリパークで働く飼育員の姿を見てかっこいいと憧れた。高校卒業後に動物の専門学校に通い、とべ動物園で働くようになった。 ある日、園内のアフリカゾウが掘った穴にできた水たまりに、オタマジャクシがいるのを偶然発見した。「衝撃的な出来事で、皆に知ってもらいたかった」。機関誌の見開きページの編集を任されていて「幅広い年代が親しめる漫画で、この話をうまく伝えられないか」と思いついた。
元々絵を描くのが好きだったが、漫画を描いたことはなく、当初は1本描き上げるのに1カ月かかり、不安ばかりだった。ただ周囲の評判は上々で、他の飼育員もネタを提供してくれるようになった。 2013年、開園25周年を記念し作品を1冊にまとめた漫画「動物園のなにげない一日」を、23年には続編を出版。園内の売店で購入でき、全国の書店でも取り寄せられる。 これまで描き上げた作品は4こま漫画も含め100本以上に上る。仕事の合間や休日に作業をしているため「締め切りは恐怖」と苦笑する。「今後も変わらず、自分のペースで描き続けていきたい」と語った。