“最速男”ボルトのサッカーデビューを海外メディアは酷評「技術はなし」
豪州のフォックススポーツも、豪州元代表のゴールキーパーとして活躍したマーク・ボスニッチ氏の「ボルトは上達のためにやらなければならないことが多くある」というコメントを使って、サッカー選手としての実力を酷評した。 ボスニッチ氏は、「ボルトがセントラルコースト・マリナーズで、正式なプロ契約を勝ち取りたいのであれば、多くのことが必要。たった15分から20分間のプレーの中で、選手の実力を判断するのは難しいが、私は今夜(の試合)で十分にわかった。彼自身も『多くのことをやらなければならない』とインタビューで認めていた」と断言。 「ボルトの身体面について語るのは忘れよう。彼は技術面で多くを必要としている。彼は、『あと4、5カ月必要だ』と言っているが、問題はチームがそのレベルに達するまで待てるかということだ。マイク・マルベイ監督は『彼に12カ月を与える』と言ったが、とても忍耐強く取り組まなければならないことは明らかだ」と、プロサッカー選手としての技術習得には、かなりの時間が必要だと予想した。 同氏は、さらに「若いころのクリスティアーノ・ロナウドであれ、ボルトであれ選手の実力を判断する上で、20分間という時間は短く難しいが、私の意見として彼は、まだ長い途上にある。だが、彼は、将来的に成功することができるかもしれない。誰かが、彼の意識をゾーンの中に入れて、かつてのように走ることができるようになれば、プロ契約を得るために集中して(練習に)取り組むことができるだろう」とも語った。 米国スポーツ専門メディアのESPNも「ボルトのプロサッカーデビューは大騒ぎとなったが、技術的なものはなかった」と厳しい見方をした。「ポジショニングでボロを出し、プロの試合に要求されるだけのフィジカルは、ほとんどなかった32歳の彼の20分間のデビュー戦は、チームにとって大きなお荷物だった」と伝えた。 試合は6-1で勝ったが、ボルトに存在価値はなかったとの見立てだ。 その一方で、「世界最速の男は、足元のボールを扱う能力よりも多くのものをピッチに持ち込んだ。Aリーグの最下位チームと、アマチュア選手で構成された対戦相手が、シドニーの北100キロ近く離れた地方の町で行うシーズン前の親善試合で、昨シーズンのマリナーズの地元試合の平均観客数を2500人ほど上回る9958人の観客が集まった。この偉業は明らかに祝う価値があるものだ」と、ボルト効果を紹介。 「地球のあらゆる場所で、ファンやメディアはこの史上最も偉大な短距離選手が彼の技術をサッカーのフィールドに生かせるのかを注目してきた。マイケル・ジョーダンやマニー・パッキャオのように、1つのスポーツにおける伝説的選手が別のスポーツに挑戦し、全く新たな鍛錬に挑む姿は、常に見せ物となる。最終的にボルトのデビューもそうした形で思い出されるのだろう」と、野球に挑戦して失敗したNBAのスーパースターのマイケル・ジョーダンと、バスケットに挑戦したボクシングの元世界6階級王者のマニー・パッキャオの例を出して皮肉たっぷりに伝えた。 米国のヤフースポーツによると、100mの世界記録9秒58から取った背番号95を背にプレーしたボルト、20分間のプレー中に7回ボールを持ちシュートを1度放ち、「8月18日からマリナーズで練習を続けており、クラブに、どの程度、留まるか。その期間は決まっていない」という。 いまのところ“世界最速男”のサッカー挑戦は華麗なる転身とはいっていないようである。