【Playback箱根駅伝】第75回/「復路の順大」粘りの逆転劇! 駒大の初V阻む
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの) 第75回箱根駅伝総合成績をチェック
第75回(1999年/平成11年) 2区で三代直樹が1時間6分46秒の区間新! 4区間で新記録が誕生 10区が日本橋回りのコースに
優勝争いは前回大会に続き、3連覇を狙う神奈川大、出雲・全日本を制していた駒大、その両大会で準優勝だった山梨学大による「YKK対決」と見られた第75回大会。10区は日本橋を回るコースに延長された。 前回出場校の専大、関東学院大が予選会敗退を喫した一方で、法大が2年ぶり、中央学大が4年ぶりに本戦出場を果たした。 1区はスローペースな出だしから17km過ぎにペースアップ。スパート合戦を制した拓大の東勝博(4年)が区間賞を手にした。優勝候補の神奈川大(小松直人)と駒大(西田隆維)が3秒差の同タイムで2位、3位となり、山梨学大は先頭から33秒差の9位スタートとなった。 各校のエース級が集う2区では、順大の三代直樹(4年)が圧巻の走りを見せた。8位でタスキを受け取ると、その1つ前を走っていた日大の山本佑樹(3年)とともに先頭に追いつき、終盤は独走。最大の難所である残り3kmの上り坂を驚異的なペースで駆け抜け、渡辺康幸が1995年に作った区間記録を2秒更新する1時間6分46秒のスーパー区間新記録を樹立した。1分24秒差で2位は駒大、さらに1分04秒差で東海大が3位で続いた。 3区でも順大は1年生の入船満が区間3位の好走で2位・駒大との差を2分20秒まで広げたが、4区では駒大が反撃に出た。藤田敦史(4年)が区間2位に2分34秒差をつける区間新記録の快走で逆転。5区でも首位を守り切り、初の往路優勝を果たした。1分50秒差で順大が往路2位。2区以降、順位を落とさなかった往路3位の東海大は5区に起用された1年生・柴田真一の区間賞が光った。 復路では8区まで駒大が首位の座を死守したものの、9区では順大の高橋謙介(2年)が区間記録を13秒を更新する区間トップの走りで58秒差を再逆転。逆に1分33秒差をつけた。順大は10区の宮崎展仁(2年)も区間賞とダメ押しし、10年ぶりの総合優勝と復路優勝を手にした。大会前は出雲5位、全日本8位と優勝候補に挙がっていなかったが、箱根路で番狂わせを起こした。 駒大は4分46秒差で2位。初優勝と史上2校目となる学生駅伝3冠を逃した。神奈川大は復路2位の追い上げで総合3位は死守。中大は3年連続の4位、優勝候補に挙げられた山梨学大は往路の出遅れが響いて総合6位に上げるのが精一杯だった。 シード権争いは、9区終了時で12位だった東洋大が最終10区の柏原誠司(3年)の3人抜きで制す。10位の早大は40秒差で8年ぶりにシード権を落とした。また、全日本で3位に食い込み、この大会でも1区と7区で区間賞を獲得した拓大はその他の区間が伸び悩んで11位にとどまった。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)
月陸編集部