熱すぎる展開…NHKドラマ『宙わたる教室』が与えてくれた心地良さとは? クライマックスが待ちきれないワケ。考察レビュー
12月10日で最終回(10話)を迎えるNHKドラマ『宙わたる教室』。窪田正孝演じる東新宿高校定時制に務める理科教師・藤竹叶と生徒たちとの交流を描かれ、毎回多くの感動を与えてくれた学園ドラマだ。クライマックスに向け、第8~9話の物語を改めて振り返る。(文・望月悠木)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】窪田正孝の名演がめちゃくちゃ熱い…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『宙わたる教室』劇中カット一覧
最終回が楽しみで仕方ない!
本作で正式に銘打たれているわけではないが、本稿では暫定として、各登場人物の背景を掘り下げながら科学部結成を描いた1~4話の“仲間集め編”、正式な部として稼働した科学部が目標を掲げて切磋琢磨する5~7話の“挑戦編”、終盤に向けて駆け上がる8話以降の“クライマックス編”として表記したい。 “挑戦編”において、主人公の藤竹(窪田正孝)が顧問を務める科学部は、定時制高校であることを理由に、コンテストのエントリーを拒否される。一度はショックを受けた一同だったが、学会発表という新たな目標に向けて“順調”に科学部の結束力が高まっていく。 穿った見方をすれば、順調に進んでいるということは、終盤に修羅場もとい大きな山場を控えていることはほぼ確実と言って良い。「もうこのままずっと科学部メンバーでわちゃわちゃしていてくれ!」と祈っていたが、やはりそこはドラマ。 “クライマックス編“となる第8話では、冒頭から柳田岳人(小林虎之介)の不良仲間・三浦孔太(仲野温)が、学校から帰ろうとする岳人、名取佳純(伊東蒼)、越川アンジェラ(ガウ)の前に姿を見せる不穏な立ち上がりを見せる。
第1話での藤竹(窪田正孝)のセリフが今度は自身を救う胸アツ展開
この嫌なフラグは早々に回収される。中盤に孔太は仲間を引き連れて物理準備室に押しかけ、科学部が作った実験装置を壊していく。悲劇はこれだけでは終わらない。発表まで時間がないため、メンバーは急ピッチで実験装置の修復に努めるが、その作業中にアンジェラが装置の一部を破損させてしまう。 いらだちを募らせる岳人はアンジェラに強い言葉をぶつけると、長嶺省造(イッセー尾形)から「最たる原因は自分だろうが」と岳人を責める。このことをキッカケで、岳人以外のメンバーは科学部に足を運ばなくなり、科学部は空中分解寸前の事態に追い込まれてしまう。 第9話、藤竹は空中分解状態の部員を集めて「どんな人間でもその気になれば必ず何かを生み出せる」という仮説を検証するために科学部を作ったことを明かす。科学に無縁の生徒に科学を触れさせて、どんな結果が出るのか観察していた、とも。 そして、生徒たちを焚きつけたことで、傷つけ、大きな失望を与えてしまったと謝罪する。藤竹の実験は失敗に終わった――。部員たちが唖然とする中、とつぜん岳人が入ってきて「ふざけんなよ」と、藤竹の胸ぐらを掴む。 藤竹自身はどうしたいのか。岳人に問われるが、何も答えない。その煮え切らない態度に岳人はまたもや掴みかかり、「ここは諦めたものを取り戻す場所じゃねえのかよ」と訴える。 このセリフは第1話で他ならぬ藤竹が岳人に言った言葉だ。あれは生徒だけでなく藤竹自身に言い聞かせていたのだろう。その言葉が、今度は岳人から藤竹に向けて投げかけられる。