「将来像を議論したい」議員なり手不足が課題の町、定数超える13人準備 島根県川本町議選16日告示 住民ら論戦期待
任期満了に伴う16日告示、21日投開票の島根県川本町議選(定数9)は、13人が立候補に向けて準備を進めており、4人超の激戦になりそうだ。全国的に小規模な市町村で議員のなり手不足が課題となる中、今回の選挙に臨む13人には、町の未来を議論したいとの思いがにじむ。人口がピークの4分の1になり、衰退が進む町で、住民は地域の未来を示す論戦を期待する。 【なり手不足の報告書】町村議員なり手不足要因 自治会弱体化や家族反対 全国町村議会議長会の検討会分析
立候補を予定しているのは現職7人、元職2人、新人4人。政党別では共産1人、無所属12人で、年代別は40代2人、60代7人、70代4人となっている。 立候補予定者は町の将来像を議論したいとの思いが強い。新人は「このままでは将来に期待できない」と述べ、別の新顔は「昔のにぎわいを取り戻すために力を尽くしたい」と動機を語る。 出馬を決断する背景には町の衰退がある。かつて国や県の出先機関や民間の大手企業が事務所を置いたが、1990年代以降、国の出先機関や民間企業が次々と撤退、閉鎖した。 2018年には町内を運行していたJR三江線も廃線となり、人口は1955年の1万2千人から現在は約3千人に落ち込んでいる。町商工会の湯浅晃誠事務局長は「将来に対する不安が、立候補したいという人を増やしたのだろう」と推測する。 もともと、町議選に対する町民の関心は高く、同じ4人オーバーだった前回選の投票率は82・41%。記録が残る1959年以降、無投票になったのは2008年のみという。
それでも町議会はなり手不足を懸念し、若い人を含めた多様な人材が出られるようにしようと、24年2月には今回の改選後から議員報酬を11%増の月額23万3千円にする対策も取った。 町は24年度、住宅や施設を集約する「コンパクトタウン」を目指して立地適正化計画の策定を進め、少子高齢化が進んでも持続可能な地域の構築に本腰を入れる。江の川治水も進む中、16日に始まる5日間の舌戦に、町中心部の弓市地区でクリーニング店を営む三好正師さん(66)は「町民に最も身近な議員として、多様な視点でまちづくりを議論してほしい」と求める。