渡辺直美「オリラジ」中田の言葉で“自分”を見つけられた
そしたら、中田さんが言ってくれたんです。「お前には長所がいっぱいあるだろ。短所は捨てる。短所は見ない。短所を伸ばすよりも、誰もマネができないところまで長所を伸ばす。短所を伸ばしても、やっと普通のレベルになるだけ。同じ努力をするならば、長所を伸ばした方が絶対にいい」と。決して、長々とおっしゃったわけではないんですけど、心にすごく染みました。 その言葉をもらって、考えたんです。じゃ、自分の長所って何なんだろうと。そこを見つめ直すと、ビヨンセもやってきて、コントでいろいろなキャラクターもやらせてもらって“表現力”ということなのかなと。じゃ、その表現力を伸ばしたい。さらに、表現力を伸ばすにはどうしたらいいんだろうと思って向かったのがニューヨークだったんです。それが、昨年5月から3ヵ月間行った短期留学でした。 もともと、私が中田さんを知ったのは、17歳の時。ファミレスのバイト時代でした。バイト仲間で、とてもクラい女の子がいたんです。ほっといたら、一言もしゃべんないような。でも、私はその子が好きでグイグイいってたんです。ある時「何をしてる時が楽しい?」と聞いたら「お笑いを見てる時が楽しいです」と。で、誰が好きかを聞いたら「…オリエンタルラジオ」って言ったんです。 当時は、まだ「オリラジ」さんもデビューしたての頃で、私も知らなかったんですけど、その子が「1回見てみてください、本当におもしろいですから」と言って、ニコッと笑ったんです。その子がそんな顔で笑うなんてことは今までなかったので、すごく衝撃を受けまして。その瞬間「この子をこんな顔にさせる『オリラジ』って、スゲエ!!」となったんです(笑)。その時には、もう芸人になると決めてはいたので、「そうか、その『オリラジ』という人たちが、自分の先輩になるんだ」と思ったことを覚えています。 そこから、実際にNSCに入ったんですけど、入ったら入ったで、また授業で何回も「オリラジ」という名前を聞くんです。先生方が「いいか、お前らは『オリラジ』になれると思うな。『オリラジ』は天才だ」と。だから、入る前からも、入ってからも、自分の中では、“神”みたいな存在になってまして(笑)。ただ、実際にお会いするようになると、すごく自然に仲良くなっていったんです。 ただ、ずっと一緒にいるということではないんです。ポイント、ポイントで言葉をいただくというか。 それでいったら、一番長く時を過ごしてきているのは「平成ノブシコブシ」の吉村崇さんですしね。たくさん話もしますし、実際、いいことを言ってもらったりもしています。 吉村さんにも、いろいろ相談するんですけど、ある日、吉村さんが言ってくれたんです。 「…お前の気持ちは、分かった。でも、絶対に辞めるなよ。お前が辞めたらオレの夢もなくなるから。お前とやりたいことがこの先たくさんある。だから、辞めるな。オレがお前を世界一の女芸人にしてやる。だから、オレと一緒の仕事の時は、何か困ったことがあったら、オレに目配せをしろ。絶対に助けてやるから」と。メチャクチャ、カッコいいじゃないですか。 そして、言ってもらった翌日が明石家さんまさんとの番組だったんです。吉村さんも一緒に。そこで、私がさんまさんから話をふられて「うわ、どうしよう…」と思って吉村さんの方を見たら、吉村さん、どの角度から見ても目が合わないくらい、テンパって目がグルグル回っていたんです…。あの時ほど、人のことをカッコ悪いと思ったことはありません(笑)。だからね、やっぱり中田さんなんです。