都市対抗出場からプロへ…七十七銀行の西舘洸希投手が巨人ドラ1の弟・勇陽に続く
昨年のドラフト会議で巨人から1位指名を受け、今季は開幕1軍入りしてここまで勝ちパターンの一角を担っている西舘勇陽投手(22)。その兄である洸希投手(23)が、社会人野球の七十七銀行(宮城)の一員として腕を磨いている。ときに“ライバル”、ときに“理解者”だった弟に負けじと、都市対抗野球出場そしてプロ入りへと熱き思いを語った。(取材・構成=有吉 広紀) *** 本当に自分の知っている勇陽なのかな―。画面上で力投する姿を見て、洸希はそう思うことがある。 西舘「テレビで投げているのを見ても、数日後に電話をするといつも通りの感じで話してくる。不思議な感じがします。ドラフト当日は練習をしていて、クラブハウスのテレビで(他の選手たちと)見ていました」 1学年違いの2人は小学、中学と同じチームでプレー。洸希が盛岡三、勇陽が花巻東と、ともに岩手県内の強豪に進んだ高校時代は“ライバル”だった。 「弟は甲子園にも出たし(※2年春夏、3年夏の3度出場)、負けていられないなと思っていた。(勇陽在籍時に)花巻東とは1度公式戦で当たっていて(17年秋季県大会2回戦、花巻東1―0盛岡三)、自分は投げたんですけど弟は投げませんでした。投げ合えるかなと思ったんですけど…」 大学は洸希が筑波大、勇陽が中大に進学。所属リーグが違ったため、競い合うよりも支え合うような関係に変化していった。 「変化球の握りとか、互いにアドバイスをし合っていました。弟とは投げ方が違うけど、前足の使い方とか参考にできるところは取り入れて。少しでも良くなるために試しています」 社会人1年目だった昨年、主戦として4年ぶりの都市対抗出場に貢献。だが課題も痛感した。 「いくら低めに投げていても、力のある打者にはそれだけではダメ。もっと力をつけないといけない。多少コースが甘くてもファウルにしたり、ストライクゾーンで空振りが取れるような球を投げたい。そのために投球フォームを出力が出る形に変えました」 昨年の都市対抗は東芝との1回戦に先発も、3安打3四死球でわずか1回2/3で降板し、チームも敗れた。雪辱の思いは強い。 「しっかり投げないと、とボールが先行して自分の投球ができずに終わった。もう一回あの舞台で投げて抑えたい。社会人はプロと違って(トーナメントの)一発勝負。150キロとかより、まず勝つこと。都市対抗に出て活躍することを意識していきたい」 社会人2年目でドラフト指名が解禁。全国舞台で昨年のリベンジを果たせば、一足先に勇陽が飛び込んだプロの世界も近づくはずだ。 「プロは自分も目指している場所。弟に続けたらいい。そのためにもまずはチームが勝つ投球をしていきたい」 ◆西舘 洸希(にしだて・こうき)2000年6月27日、岩手・一戸町生まれ。23歳。一戸南小3年時に野球を始め、一戸中では軟式野球部に所属。盛岡三から筑波大に進み、大学日本代表候補にも選ばれた。昨年七十七銀行に加入して今年2年目。186センチ、93キロ。右投右打。血液型A。家族は両親と兄、弟で現巨人の勇陽。
報知新聞社