破産手続きの宝山酒造(新潟市西蒲区)事業継続へ 親族が協力し新会社設立、商標も屋号もそのまま
経営状況の悪化に伴い破産手続きを行っている宝山酒造(新潟市西蒲区)が、新会社を設立して事業を継続できる見込みとなった。東京で飲食店を営む親族が事業継承に協力し、現在の酒蔵で12月にも酒造りを再開する。5代目蔵元の渡邉桂太さん(36)は「お客に迷惑や心配をかけたが何とか事業を継続できそうだ。今後の活動に期待してほしい」と再出発を誓った。 【写真】宝山酒造の写真はこちら 宝山酒造は1885(明治18)年に創業した。弥彦・多宝山の伏流水と新潟県産米で造る日本酒「宝山」をはじめ、甘酒やリキュールなどを製造販売。観光蔵の先駆けとして酒造見学も受け入れてきた。 ただ近年は日本酒離れのあおりを受け、売り上げが30年前の半分以下にまで減少した。 会社をたたむという苦渋の決断に至り、7月に破産手続きを始めた。 渡邉さんは「この場所で酒造りを続けたい」との思いは持ち続けていた。東京で和食と日本酒の店を経営する義兄の山口直樹さん(43)に相談すると、山口さんが自社の子会社として新会社を立ち上げ、日本酒の製造を続けることを提案してくれた。 新会社は「たからやま醸造」。日本酒の製造免許を新たに取得した後、これまでと同じ仕込み蔵で12月に酒造りを再開する見通しだ。 「宝山」の商標は引き続き使用でき、屋号の「宝山酒造」も残すことができた。従業員も数人が戻った。事業の継続を報告したSNS(交流サイト)の投稿には、「またおいしいお酒が飲める」「応援しています」などと100件以上のコメントが寄せられた。渡邉さんは「本当にありがたいこと」と感謝する。